人権派弁護士として知られた大谷恭子(1950~2024)。長年取材したノンフィクションライターの島﨑今日子氏が見た素顔とは――。

2024年6月、大谷恭子は大阪にいて、インクルーシブ(包括的な)教育をテーマにしたシンポジウムの基調講演を担っていた。障害児とそうでない子を分離するのは差別だと明快に論じ、「誰も排除しない共生社会」の実現を呼びかける。
「インクルーシブ教育の完成形は、自由・平等・博愛と同じように永遠の課題。でもなんとか推進してね。日本を変えるのはこの力だと思ってるんだよ。お願いだから。みんなに託したんだよ。頑張ってね」
この日、会場には全国から大谷ファンが足を運んでいた。東京からやってくる弁護士が重篤な病状にあることは、共に闘ってきた人の間では知られていた。4カ月後の10月、大谷は74歳で逝った。戦後史に刻まれる数々の刑事事件の弁護人であり、障害者や少数民族など抑圧された弱者の代理人として生きた46年の弁護士生活だった。
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source : 文藝春秋 2026年11月号

