著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、鴻上尚史さん(作家・演出家)です。
父親のこと
去年の12月、父親は亡くなった。
故郷の「サービス付き介護住宅」という所が父親の最後の住処になった。
折りを見ては帰省し、父親を尋ねた。「何か欲しいものはない?」と聞くと、「小説と寿司」と答えた。『ハリー・ポッター』も『ナルニア国物語』も『指輪物語』も『宮本武蔵』も『坂の上の雲』も『竜馬がゆく』も、父親は熱心に読み続けた。
寿司は、回転寿司のお土産用のものだったが、父親は喜んでくれた。
ただ、話は続かなかった。小説と寿司を渡し、近況を尋ねた後、5分もすると、会話は途切れがちになった。
仲が悪いわけではない。
父親は小学校の教師だったが、ブラックという意識がなかった時代で、猛烈に働いた。
毎日、ガリ刷りで「学級通信」を出し、遅くまで翌日の授業の準備をした。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から
-
1カ月プラン
新規登録は50%オフ
初月は1,200円
600円 / 月(税込)
※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。
-
オススメ
1年プラン
新規登録は50%オフ
900円 / 月
450円 / 月(税込)
初回特別価格5,400円 / 年(税込)
※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2020年12月号