VRは人間の生活を変えるのか

ライフ テクノロジー

ゲームも旅もトレーニングも。最先端技術の実力を探る

新宿の「VR ZONE」 ©時事通信社

「もう、我々は早く死ぬしかないんですよ」

 ある出版社の役員がつぶやき、私は「そうかもしれませんね」と溜め息をついた。アナログ世代の我々には未来がない。未来はいわゆる「デジタルテクノロジー」に奪われてしまったのではないだろうか。

 SNS、AI、ビッグデータ……。

 理解できぬうちに技術は次々と進化し、必要でないと思っていたものも、いつの間にか普及して必要不可欠になっている。人々は本には目もくれず、断片的な情報ばかりを追い求め、「いいね!」などという一時的な感情でつるみ合う。実際、仕事の現場でもスマホが壊れたからと言って取材に来なかった編集者もいるし、人に取材しても即座にスマホで検索し、それを読み上げる人が増えている。そうなるともはや人は「端末」でしかなく、私も「端末」の一員にならざるをえない無力感に襲われるのだが、それに追い打ちをかけるように注目されているのがVRだ。

 バーチャルリアリティ。

 訳して「仮想現実」。なんでも「VR」という言葉が使われ始めて30年になり、ようやく廉価で製造できるようになったそうで、巷では爆発的なブームらしい。スマホを持たず、ゲームもしない私などには関係のない機器に思えたのだが、これは「根本的でしかも永続的な変化を我々にもたらす可能性を秘めている」(ジェレミー・ベイレンソン著『VRは脳をどう変えるか?』倉田幸信訳 文藝春秋 2018年)とのこと。

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source : 文藝春秋 2019年1月号

genre : ライフ テクノロジー