長田　鳥集さんは知り合いの方から「いい医師を紹介して欲しい」と頼まれることはありませんか。

　鳥集　多いですね。20年以上もこの仕事を続けてきて、沢山の先生に会っているので、いい医師の知り合いは多いかもしれません。でも、だからこそ悩みますよね。

　長田　そうなんです。私は夕刊フジで17年間、名医紹介の連載をしていることもあって、これまでその欄だけでも約800人の医師に取材で会ってきました。

　鳥集さんが最先端の分野をよく取材されてきたのに比べ、私はどちらかといえば市井のプライマリ・ケア（患者が最初に受ける総合的な医療）の先生の取材が多いのですが、その多くは世間で“名医”と言われている先生方。ただ、患者の病気の専門分野の名医なら、誰を紹介してもいいというわけでもないですね。

　鳥集　取材をしていると色々なタイプの医者がいますからね。技術の無い医者は問題外として、紹介しづらいのが技術はあるけれど“人間力”が極端に低い医者。例えば、取材のときに名刺も出さないとか、いきなり「僕の出たテレビ見た？」と聞いてきて、「見てません」と言うと露骨に不満そうな態度をとるとか。その医者は女性記者と一緒に施術を見学しているとき、カテーテルから水をピュッと出して卑猥なことを言ったので、びっくりしました。

　医者である前に人としてどうなのかという方は、いくら腕がよくても紹介できません。なにより、仮に自分が患者だとしたら、そんな医者にはかかりたくありません。

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