上智大学ではSDGsの達成に貢献すべく、全学的なサステナビリティ推進体制を構築している。地球規模の課題の解決にどのように貢献していくのか。曄道佳明学長に話を聞いた。
上智大学
曄道佳明学長
上智大学は創立以来、「他者のために、他者とともに生きる」というカトリックの精神のもとでサステナビリティの推進に取り組んできました。これはまさに、SDGsの掲げる「誰一人取り残さない」の理念と重なります。
貧困や飢餓の根絶、格差是正など現代社会が抱える課題は、世界情勢と複雑に絡み合い、解決は一筋縄ではいきません。支援を必要としている人々に寄り添うことに加えて、問題の構造を読み解く俯瞰的な視点が必要です。現実的な解決策を模索できるのは、学術的多様性に溢れた上智大学の強みと自負しています。すべての学部が集う四谷キャンパスでは、国籍も学部も異なる学生らがそれぞれの専門の叡智を持ち寄り、持続可能性について議論しています。
2020年度秋学期からは、持続可能な未来の実現について学際的な視点を身につけるプログラム「SPSF(Sophia Program for Sustainable Futures)」を開設しました。人文・社会科学系の7つの専門分野にまたがったコースで、学生らは自らの専門性を掘り下げながら、他専攻の知見も学び、多様な知識と視点のもとに具体的な解決方法を探っていきます。
経験と専門性をもとに
学びをデザインする
同時に私たちは、学びにおける“経験”も重視しています。情報は画一性を招きますが、経験は人間の個性を生み出します。インターネットの検索結果をもとにした画一的な「正解」では、複雑な現実には太刀打ちできません。上智大学ではアフリカへのスタディツアーをはじめ、挑戦的な経験を得られる機会を数多く設けています。
また昨年7月には「サステナビリティ推進本部」を設立し、学生10人を大学職員として採用しています。学生を経営に関わる職員として雇用するのは珍しい試みです。ここで得られた学びは千差万別で、一つの課題に対してさまざまな切り口が生まれます。これこそが、課題解決のヒントとなるはずです。
こうした学びが何をもたらしたのか──多方面で活躍する卒業生たちの姿がそれを証明しています。NGO職員として国際貢献に従事する人もいれば、外務省に入りODAを通じて途上国支援に力を尽くしたり、民間企業に就職しフェアトレードに尽力する人がいたりと、そのあり方は多種多様です。
急速なグローバル化と高度情報化が進む社会において、単純な解決策は存在しません。専門知と経験をもとに学びをデザインし、自ら学び続けることのできる人材こそが、未来を変える力になる。そう信じて、今後も取り組みを進めていきます。
若者目線でSDGsを推進
上智大学の“学生職員”たち
(左)庄司萌瑠さん
外国語学部英語学科2年
自分たちの手で、愛着を持てるキャンパスをつくる
「愛着を持てるキャンパスをつくりたい」ーー学生職員として業務にあたるうえでの思いです。私たちはコロナ禍でキャンパスで学ぶ機会が激減した世代。足を運ぶ機会が限られているからこそ、学生に愛され、社会に誇れるキャンパスであってほしい。そう思い持続可能性の観点から学内環境の整備を進めています。例えば構内のウォーターサーバー利用を促進する企画では、SDGs貢献だけではなく「マイボトルがあれば水を買わずにすむ」など、学生が積極的に使いたいと思える呼びかけ方を心がけています。もっとできることはないかと構内を歩くたびに、改善点を探しています。
(右)ビヤンビラ キララさん
総合グローバル学部総合グローバル学科4年
想像以上の速さで進化するSDGsの波に向き合う
私はスリランカ人の両親のもと、静岡で生まれ育ちました。子供のころはマイノリティゆえの息苦しさを感じていました。しかし進学した上智大学で共生社会の思想に触れ、世界が広がりました。今度は私が多様性を実現する力になりたいと学生職員に応募。SDGsへの感度は高いつもりでしたが、広報や企画などの実務を通じて企業やNPOの担当者とやりとりすると、視野の狭さを痛感しました。SDGsを取り巻く環境は急速に変化しており、一人では限界があります。だからこそ、多くの人と手を繋いでより良い方法を模索していきます。
(※)学年はインタビュー当時のもの
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source : 文藝春秋 メディア事業局