韓国政治は10年周期。今回は「左」が当選する番なのだ
初の女性大統領・朴槿恵(パククネ)を、まるで中世ヨーロッパの宗教的“魔女狩り”のような大規模ロウソク・デモで弾劾、罷免、逮捕に追いやった韓国政治は、相変わらず(?)激しい。本誌が出るころは中途退陣を余儀なくされた朴槿恵に代わり、新たな大統領が誕生しているはずだ。
朴槿恵は「韓国中興の祖」とされる朴正熙(パクチョンヒ)の娘として保守本流を受け継いだはずだったが、結果的には今回の罷免、逮捕によって与党を瓦解させ、保守派を分裂させてしまった。これで次期政権は野党勢力に握られることは確実となった。世論調査で支持率トップを争ってきた文在寅(ムンジェイン)、安哲秀(アンチョルス)とも左派ないし革新系の野党候補である。韓国の大統領選で与党・保守勢力がこんなに落ち込んでしまったのは政治史上初めてのことだ。
ここまで与党というか保守派を無力化させた原因は、周知のように野党・左派主導の大規模ロウソク・デモを誘発した「朴槿恵-崔順実(チェスンシル)スキャンダル」である。
朴槿恵は、長年の陰の女友達で、世論をいたく怒らせた“悪女イメージ”の崔順実にかかわるワイロ疑惑の当否については、法廷闘争の構えだ。彼女はマスコミ主導ではじまったこのスキャンダル疑惑については「仕組まれた感じがする」と語っている。左派勢力による“陰謀説”をにおわしているのだが、しかし結果的に自らの弾劾・罷免で保守壊滅を招き、政権を野党に明け渡す流れになってしまった政治責任からは逃れられない。
朴槿恵と文在寅が争った5年前の大統領選で朴槿恵が当選した時、筆者は「これで韓国もひと安心」という感じから、長年にわたる韓国への関心(ウォッチング・ポイント)についても「もう政治はいいかな……」と思った。個人的にはある種の“政治離れ”を考えていた。李明博(イミヨンバク)政権に続く朴槿恵・保守政権の誕生で安定志向、政治的激変回避が予想されたからだ。
とくに朴槿恵は政権の公約として「非正常の正常化」や「原則重視」を語っていた。何のことかというと、保守が政権を奪還するまで左派・革新政権の金大中(キムデジュン)・盧武鉉(ノムヒョン)時代(1998-2008年)10年で国の権威が後退し、法や秩序を軽視・無視するといういわば“NGO国家”的な状況があったからだ。
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source : 文藝春秋 2017年06月号