豊洲ありきでひた走り、都議会を増長させた石原都政の悪弊をすべて明かす
今、東京都政はかつてないほど注目を浴びています。その最大の理由は、これまで見えなかった複雑に縺(もつ)れた糸のような意思決定プロセスが、徐々にでも着実に明らかになってきているからではないでしょうか。都庁の動き、それぞれの都議の言動、そして自民党東京都連という存在……。1つの物事に幾つもの要素が絡み合い、「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」決めたのか、外部からは分からなかった構造にようやく光が当てられています。
豊洲市場問題は、そんな都政の象徴的存在といえましょう。
昨年7月の知事選以来、私が提唱する「東京大改革」の一丁目一番地は、情報公開です。都の事業に関する過程を記録に残し、公開の要請があれば原則公開にする。歴史の検証に耐えうる「当たり前の都政」には欠かせません。
しかし、これまではそんな「当たり前」が通用しなかったようです。言うまでもなく、築地市場の豊洲移転を決定した際の知事は、石原慎太郎さんです。しかし、記録を調べれば分かることだといわれても、「記録そのもの」が残っていないケースも見られる。そして、石原さんからは「屈辱を晴らしたい」と勇ましい発言が飛び出す一方で、肝心の場面では「記憶にない」を連発される。先日、石原さんの側近が「石原さんは知らなかったのではなくて、覚えていないだけ」などと語っていましたが、記録も記憶もなければ歴史の検証は容易ではありません。最近は「レガシー(遺産)」なる言葉が流行していますが、このような「負の遺産」ともなりかねない課題を残された都民は今、何を思うでしょうか。
石原手記には驚くことばかり
石原さんは、『文藝春秋』4月号に寄せた手記に、次のように綴りました。
〈小池知事には、都政の先輩としてのいささかの献言もあります。それは一刻も早く豊洲移転の決断を下すべきだということ〉(以下、〈 〉は同手記からの引用)
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source : 文藝春秋 2017年05月号