「米朝危機」自衛隊が最も緊迫した瞬間

任期歴代最長の前統合幕僚長が明かす

河野 克俊 元統合幕僚長
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朝鮮半島有事になった場合、自衛隊はどう動くか――頭の体操をしました

米のダンフォード統合参謀本部議長と河野克俊氏 ©時事通信社

 2014年10月から今年の4月1日まで(自衛隊制服組トップの)統合幕僚長を務めさせていただきました。統幕長をやめた後いろんな方に「緊張の連続で大変でしたね」と声をかけられたのですが、変な言い方ですが、皆さんが思っている程には大変ではなかったというのが当人の実感です(笑)。

 自衛官といえども、24時間365日、常に身構えていたら、とても体が持ちません。ローテーションを組んで、休む時はしっかり休むことも大切です。オンオフを切り替え、任務にあたることが即応体制維持の要諦だと言えます。

 私自身も現役時はローテーションを大切にしていました。

 統合幕僚長のポジションには替えがききません。しかし、24時間緊張はできないから、任務は任務、緩める時は緩める――そのコントロールについては、誰かが命令してくれるわけではないので(笑)、自分でやってきました。

 もちろん、もし事が起こればすぐに市ヶ谷の防衛省に駆けつけなければならないため、休みの時でも遠出はできません。官舎から歩いて30分ぐらいの所に、ゴルフの打ちっぱなしがあったので、クラブを数本抱えてそこまで歩き、30分ぐらい打って帰ってくる。その1時間半でずいぶん気分転換になりました。また、仲間と酒を飲むこともありましたし、本を読んでリラックスすることもできた。オフの時間を有効に使うことで、オンの時間を充実させる糧になりました。仕事の内容は違いますが、これは企業の経営者など、人の上に立つ方なら、誰もが実践していることではないでしょうか。

 歴代最長となる4年半もの間自衛隊制服組のトップという重責を担った河野克俊氏(64)。安倍晋三首相の信頼は厚く、3度の定年延長を経て、今春退官した。現在は防衛省顧問を務める河野氏が、自身の歩みと、今後の自衛隊について、想いを語った。

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source : 文藝春秋 2019年8月号

genre : ニュース 社会 政治 国際 韓国・北朝鮮