生き残り戦略、女性観、死生観まで語り尽くす
1月に放送が始まったNHK大河ドラマ「どうする家康」。松本潤演じる主人公の徳川家康は、従来の老獪なイメージを一新する「弱小国の青年城主」だ。織田信長や武田信玄といった強敵に追い詰められて悩み、狼狽する情けない姿が描かれている。そんな家康は、いかにして天下人となったのか。
今年1月、徳川家康から始まる徳川宗家を継承し、第19代当主となった徳川家広氏と、新著『徳川家康 弱者の戦略』(文春新書)で最新の研究から「弱い家康」を読み解いた歴史学者・磯田道史氏の2人が、家康の実像について語り合った。
磯田 このたびの徳川宗家の当主継承、おめでとうございます。
徳川 ありがとうございます。
磯田 ちょうど大河ドラマ「どうする家康」が始まったタイミングでしたね。普通の家の相続ではありませんから重圧も相当だと思います。家広さんも、ドラマの家康公のように「どうすればいいんだ」と悩まれたんじゃないですか。
徳川 いえいえ(笑)。いまの日本は、家康が生きた時代に比べれば、平和な世の中ですから。ドラマは、愛知県岡崎市のパブリックビューイングで初回を拝見したんですよ。
磯田 それは岡崎の人たちは喜んだでしょうね。
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source : 文藝春秋 2023年4月号