世界各国でスパイ、脅迫、テロ予告……
昨今、全世界のメディアや警察関係者の話題をさらっているのが、中国の地方公安局が世界各国において相手国に無断で設置している出張所、通称「海外派出所」だ。なお、大使館などの在外公館以外の場所に自国の拠点を勝手に設置する行為は、中国も加盟する「外交関係に関するウィーン条約」第12条に明確に違反する。
スペインに本部を置く国際人権活動団体「セーフガード・ディフェンダーズ」(SD)が2022年9月に発表した報告書によれば、こうした海外派出所は、日本を含めて少なくとも世界53カ国に100カ所以上存在する。もっとも、私が確認したところ、SDの調査には「抜け」がかなり多いため、これは氷山の一角である可能性が高い。実際はさらにずっと多くの拠点が存在していても不思議ではない。
アメリカでは今年4月17日、事態を重く見たFBI(米国連邦捜査局)の捜査を通じて、ニューヨーク市在住の盧建旺(ルージエンワン)容疑者(61)と陳金平(チェンジンピン)容疑者(59)の2人が、中国の「秘密の警察出先機関」を運営して米国の主権を侵害した疑いなどで司法当局により逮捕・起訴された。
現地報道によれば、彼らは中国福建省の福州市公安局に協力する形で、在米中国人を対象に、中国の運転免許証の更新支援などの行政サービスを米国政府の許可を得ず提供。さらに米国内の反体制派中国人に対する監視と恫喝を繰り返し、中国に帰国するよう要求していたという。
「PRC(中華人民共和国)の行動は、国家として許容される範囲をはるかに超えている」
とは、米司法省国家安全保障部門のマシュー・オルセン司法次官補が公開した声明だ。盧容疑者らはそれぞれ数十万ドルの保釈金を支払いすでに保釈された。
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source : 文藝春秋 2023年7月号