国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです
大学で、主に外国人留学生を相手に日本語を考える授業を持っています。いつも初回の授業では「恋」について話します。ただし、私のことですから、「恋」ということばについてなのですが。
「恋」はすでに奈良時代の文献に見えることばで、日本語としては古参の部類に入ります。これを『広辞苑』はどう説明しているか。解説の冒頭を学生に示すと、みな意外そうな表情を見せます。
〈一緒に生活できない人や亡くなった人に強くひかれて、切なく思うこと。また、そのこころ〉(下略。第7版)
えっ、「恋」は love じゃなかったのか。そう、『広辞苑』によると、完全にイコールではないんですね。
『広辞苑』は古い意味を最初に書く方針を採っている辞書です。大昔の「恋」の意味はこうだったのです。今でも「亡き母を恋う」と言います。古い「恋」の意味がここに残っています。
では、私の携わる『三省堂国語辞典』(三国〔さんこく〕)はどうか。2008年刊行の第6版ではこう説明していました。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2023年7月号