宴(えん)のあと

日本人へ 第254回

塩野 七生 作家・在イタリア

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 総裁選の結果も、それを受けての新首相による組閣の陣容も知った。それを知ったときの私の頭に浮んできた最初の想いは、石破茂氏は勝つとは思っていなかったのではないか、ということである。

 これまで負けつづけてきた経験からも、また今回の第一回の投票結果からも、今度も決選投票で負けるのではないかと思ったとて、人間的には理解できる。ところが今度ばかりは勝ってしまったのだ。

 それで新首相がまず考えたのが、推薦してくれた人たちへの「恩返し」。組閣名簿で数えてみたら六人にもなった。二〇人必要だった推薦人のうちの六人である。六人とも聞いたこともない人々だが、就いたのは重要省庁の大臣。そのうちの四人が初入閣。もし幸いに総選挙で過半数を守りきれたとしたら、石破氏はこの顔ぶれで、以後もつづけるつもりかと思ってしまった。

 しかし、権力もなく影響力もない一介の愛国者の私にとってほんとうは、日本の首相が誰になっても、今の日本の現状打開のためになることをしてくれさえすればよいのである。

 ゆえにこれ以降は、石破氏さえその気になればやれる事柄を述べることにする。幹事長まで意中の人を配したようだから、自民党内で決めさえすれば実行は可能だと思う。

 第一は、いわゆる“元老”たちは全員お退(ひ)きいただくこと。なのに、菅氏の副総裁と麻生氏の最高顧問就任はどういうわけ? お退きいただくのは全員であってこそ、それを決行する意味があるのだ。

 敗戦後の日本に押しつけた占領軍による政策の中で、以後の日本のためになったと思っているものが二つある。

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source : 文藝春秋 2024年12月号

genre : ニュース 政治