谷川俊太郎、北の富士、堀田力、小倉智昭、中山美穂

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★谷川俊太郎

谷川俊太郎 Ⓒ文藝春秋

 詩人の谷川俊太郎(たにかわしゅんたろう)は、戦後はやくから創作活動を始め、称賛と批判を受けながら、透明で強い言葉を残した。

 みずみずしい感性で戦後詩人の代表とされてきた谷川が、突如、イメージを変えるような詩を発表したのは1965(昭和40)年だった。〈何ひとつ書く事はない〉で始まる「鳥羽1」には〈私の妻は美しい/私の子供たちは健康だ〉とあり、〈本当の事を云おうか/詩人のふりはしてるが/私は詩人ではない〉に繋がっていた。満ち足りた時代への批判とも言われたが、詩壇では評判が悪かった。

 31年、東京に生まれる。父は哲学者の谷川徹三で、音楽を愛した母の影響を強く受けたという。高校時代はラジオを組み立て、音楽を聴き、詩を書いた。19歳のとき将来を憂いた両親に詩を書いた2冊のノートを見せる。

 父は詩人の三好達治に息子の詩を読んでもらい、三好は『文學界』に掲載するように依頼した。ノートの「二十億光年の孤独」や「ネロ」がよく読まれ、谷川は新時代の代表的詩人と見なされていく。

 53年、茨木のり子に誘われ詩誌『櫂』の同人に加わり大岡信などと親しくなった。翌年に同人で岸田國士の長女・岸田衿子と結婚するが、2年後には離婚している。56年、免許をとってドライブに夢中になり、翌年に女優の大久保知子と2度目の結婚をして2人の子を得る。

 谷川はラジオのシナリオを引き受け、ショート・ショートを創作した。62年には手塚治虫に直接頼まれてアニメ『鉄腕アトム』の主題歌の作詞を引き受け、64年、市川崑監督の映画『東京オリンピック』の製作に参加する。「僕は自分が思っている以上に、時代に密着している」。

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source : 文藝春秋 2025年2月号

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