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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★鈴木修

鈴木修 Ⓒ文藝春秋

 元スズキ会長の鈴木修(すずきおさむ)は社長の娘婿として鈴木自動車工業(現・スズキ)に入社、世界的な軽自動車企業に育てた。

 2021(令和3)年、会長を退任し社長時代を含め40年以上続けてきたリーダーの地位を去った。このとき91歳。「老害」などと批判されたが、有力後継候補が亡くなり、「思うようにならなかった」と回想している。

 1930(昭和5)年、岐阜県の下呂町(現・下呂市)に生まれる。実家は温泉旅館で父は警察官。終戦時には海軍の航空隊にいたが、中央大学法学部を卒業して中央相互銀行(現・あいち銀行)に入行。銀行マンだった58年、鈴木自動車社長の娘婿となり同社に入社した。

 将来の社長と目されてはいたが、入ってみると工場は木造の平屋で、仕事はできるが妥協しないため古参との摩擦も多かった。61年、30歳で「担当させられた」豊川工場の建設はなんとか成功する。しかし、66年からのアメリカ子会社USスズキの経営では赤字を続けて、2年後に日本に呼び戻された。

 帰国すると閑職の東京駐在となるが、「社外の人との交流」を心掛ける。やがて築いた人脈で、ホープ自動車から小型四輪駆動車の製造権を譲り受け、70年、「ジムニー」の名で売りだすとヒットし、大いに面目を施す。

 78年、社長に就任すると、新しい軽乗用車の発売予定を1年遅らせて、社内外にショックを与えた。「何人もの工場の社員が、軽トラックで通勤しているのを見た」からだった。事情を聞いたところ、社員には兼業農家が多く、「とても便利」と話してくれた。そこで荷物を置くスペースをとって軽商用車に転換し、「アルト」の名で発売して大成功を収める。

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source : 文藝春秋 2025年3月号

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