大豆があったときはまだ良いほうよ
2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、「戦争」というものが、すぐそこまで近づいてきていると感じます。この年の12月末かしらね。「徹子の部屋」にタモリさんが出演してくださったの。
覚えてらっしゃる方もいるんじゃないかしら。放送終了間際に、私が「来年はどんな年になりますかね?」と尋ねたところ、タモリさんはしばらくの間考えてから「新しい戦前になるんじゃないですかね」とお答えになったんです。
そうよね、やっぱりこの人も、戦争は嫌いだものね、絶対に。「新しい戦前」と彼が言ったのを聞いて、そう思いました。昨今の穏やかではない社会をみて、そう表現したのでしょう。タモリさんはいつも面白いことを言って人を笑わせていますけど、それだけではない人。心の中ではきっと、戦争は絶対にしてはならないと思っていますよ。
もしあの時、タモリさんに対して私がなにか返すとしたら……「やあねッ」って答えたいわ。新しい戦前――そうよね、「やあねッ」って。その一言だけで、タモリさんには十分伝わるんじゃないかしら。
タモリさんが「新しい戦前」と表現した2023年も、8月15日に78回目の終戦の日を迎えます。今年、わたくしの戦争体験を綴った絵本『トットちゃんの15つぶのだいず』(講談社)を監修しました。「今のうちに話しておかなければ」と思っていたことを、素晴らしい絵本でお届けすることができました。
イラストを担当した松本春野さんは『窓ぎわのトットちゃん』で挿絵をお借りした、いわさきちひろさんのお孫さん。素敵なご縁を感じています。
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source : 文藝春秋 2023年9月号