古雑誌の「何か」が、私の背中をあたたかく押した
私は、月刊「文藝春秋」の背中を見て育った。
嘘ではない。ただの純粋な事実である。
私は、昭和46年(1971)生まれである。父は料理を売る小さな会社の経営者だったが、本や雑誌が好きで、「文藝春秋」も私の生まれる前から購読していた。
気に入った号は捨てたりせず、茶の間の本箱に入れていたので、私はあるいはチャブ台の上で朝ごはんを食べながら、あるいは晩に学校の宿題をやりながら、自然とその背表紙が目に入った。まさしく背中を見て育ったのである。
中身をぱらぱら読むようになったのは、中学生になってからだったか。まだまだ政治や昭和史などに関する特集記事はむつかしくて理解できなかったけれども、巻頭随筆などは短いから読めるものもあったし、特に「蓋棺録」はおもしろかった。
「蓋棺録」は、ご存じ訃報欄である。何もまあ若い身空でそんなに人様の死に見入ることはないだろうと私もこうして書いていて思うのだが、しかし考えてみれば、新聞やテレビにも同種の報道はある。
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source : 文藝春秋 2025年1月号