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日本人の深刻な「野菜不足」をデータ化できる

 日本人は「ルテインがいい」と聞くと、それだけを集中して取ろうとする。ホウレンソウばかりを毎日食べていればいずれ飽きて続かなくなる。それよりは、ホウレンソウに限定することなく、色々な野菜を積極的に食べるほうがよほど効果的。「要はバランスが大事なんです」と尾花医師は言う。

「ルテインはホウレンソウ以外にも小松菜やブロッコリーなど様々な野菜にも含まれています。日頃から野菜を食べる人は、それなりの量のルテインも摂取できているもの。でも、実際問題として、日本人の野菜不足は深刻です」

 そこで尾花医師は、アメリカのベンチャー企業と共同研究を進め、ある測定器を開発した。その名も「ベジメータ」というこの機械。野菜摂取量の過不足をカロテノイドの量から簡単に測ることができるのだ。

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野菜摂取量の過不足をカロテノイドの量から簡単に測れる「ベジメータ」

 左の中指を機械に挿入して10秒待つと、指先の皮膚カロテノイドの量が測定され、そこから全身のカロテノイドの量が数値化して表示される仕組みだ。

「986人のデータを元に設定された5段階評価の中のどこに入るかが判定される。今後はさらにデータを集めて、より詳細な判定基準を作っていく予定です」

野菜不足は、黄斑変性だけの問題ではない

 このベジメータ、現在は一部の医療機関の他、スーパーの野菜売り場や健康食品店の店頭などに置かれている。尾花医師のいる聖隷浜松病院では、健診や人間ドックにもこれを取り入れ、データを元に野菜不足解消を呼び掛ける活動に力を入れている。

「野菜不足解消は、黄斑変性だけの問題ではありません。ルテインが目と脳に多く存在することは以前から分かっていましたが、最近の研究では、認知症予防など脳の機能との関係性を示す研究結果が出始めています。特に子どものルテイン摂取量を増やすと計算能力が高まる、という興味深い報告も出てきており、世界的に注目を集めています」

 それを聞いた記者は、あわててベジメータを試してみた。しかし結果は予想通り、最低ランクの「E判定」。

残念な「E判定」に……(筆者提供)

受験生時代の模擬試験の結果を思い出して切なくなった。

 この日を境に、狂ったように野菜ばかり食べています。