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この古い法律を再検討する必要がある理由

 一方、この古い法律を、現在の社会的・国際的状況を鑑みて、一度再検討する必要がある理由も複数ある。

1.海外には、カンナビス、またはカンナビス由来の医薬品を使っててんかんやPTSDなどの症状を緩和したり、治療に使ったりしている患者さんたちがいる。こういう人たちにはどう対応するべきなのか。

2.現行の法律の対象になっているのは、花と葉であり、茎は対象外である。そのため、国内で流通する(THCを持たない)CBD商品は、茎から採った、効果がきわめて薄いものだけである。また刑法2条が付帯されていることから、合法地域であっても処罰の対象内になっている。つまり、現状、カンナビスによる医薬効果が国際的な医療界でも認められているのに、日本国民がアクセスすることができるのは、効果の薄い商品だけだ、ということになる。この法律は、そもそも構造上に矛盾をはらんでいるだけでなく、国民の福利を制限する結果にしかならないのではないだろうか。

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 今、日本では、2014年には1761人だった大麻による検挙者の数は増え続け、2018年は3578人が、大麻取締法違反で逮捕された。警視庁も厚労省も、五輪開催に向けて大麻およびその他のドラッグの取締を強化していく姿勢を表明している。五輪のために日本を訪れる外国人の中の、大麻を医療に取り入れている人については、どう対応するのだろうか。大麻をめぐる国際認識が急速に変わるなか、今、日本に求められているのは、70年前に作られた法律に固執することではなく、現状にどう対応していくかではないだろうか。

真面目にマリファナの話をしよう

佐久間 裕美子

文藝春秋

2019年8月8日 発売