ユーザーが携帯電話会社に通信料金を支払えば、それに応じたポイントがもらえる。そのポイントはこれまで機種変更などにしか使えなかったが、最近ではスマホ決済サービスとして、コンビニや飲食店などの支払いに使える。
楽天は通販を中心にポイントを付与していたが、経済圏を拡大し、金融など様々なサービスでポイントが貰えるようになった。しかし、ユーザーが通販で購入するなどのアクションを起こさないことには、ポイントが発生しなかった。
だが、4月から携帯電話事業を本格化させれば、毎月ポイントが発生する。結果としてユーザーは、さらに楽天経済圏や街なかで買い物をするようになる。つまり、毎月、継続的にポイントが発生し、もらえるというのが重要なのだ。
スマホ決済の肝は「営業力」
もうひとつ、鍵となるのが、スマホ決済サービスが使える店舗を増やすという加盟店開拓だ。LINEやメルカリなどはネット企業であり、こうした加盟店開拓がとても苦手だ。リアルな世界で汗をかく営業活動が、からきし下手だったりする。
一方、ソフトバンクとヤフーが手掛ける「PayPay」は、全国に20箇所の営業拠点を設置し、数千人規模のローラー作戦で加盟店開拓を続けている。実際、地方でもPayPayが使える小さなお店を発見することもある。いまでは全国で185万以上の場所で利用可能だ。
また、NTTドコモは、全国のドコモショップを手掛ける販売代理店に「d払い」の加盟店開拓を委託している。もともとドコモショップで法人営業として携帯電話の回線を販売していることもあり、その延長線上で「d払い」を売り込むというわけだ。
「LINE Pay」や「メルペイ」などは、営業を業者に委託するケースが多い。結果として、加盟店開拓のコストがかさみ、赤字体質から脱却できないでいるのだ。
決済サービスで儲ける気がない
携帯電話事業者がスマホ決済サービスで強いもう一つの理由が、「スマホ決済サービスで儲ける気がない」という点に尽きる。
「Origami」はスマホ決済サービスが本業であったが、ビジネスモデルが描けずに破綻した。
携帯電話事業者にとってみれば、ポイントを付与し、スマホ決済サービスを使ってくれれば、ユーザーの満足度が上がり、結果として解約しにくくなる。KDDIの東海林崇パーソナル事業本部長は「スマホ決済を使ってもらうと、NPS(ネットプロモータースコア。企業などへの愛着を示す指標)が高まり、ユーザーとの関係性が高まる」と語る。