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 今回の新型コロナウイルスのニュースの場合、災害やテロと違って、ウイルスの感染拡大は目に見えません。報道で流れる映像も、人のいない街の風景、病院の様子などで、映像によるフラッシュバックの心配はありません。

 とはいえ、報道に触れ続けることの心理的な負担は大きいと思います。アメリカやイギリスで10代の子どもが新型コロナウイルスに感染して亡くなったことが伝えられれば、我が事として考えてしまうでしょう。小学生くらいになれば、街に人がいない意味や人が亡くなることの意味がわかるようになる。「コロナにかかったら死んでしまうかも」と怯える子どもが出てくるのも当然でしょう。

買い占めに走る「親の姿」を見ている

 幼児の場合、新型コロナウイルスのニュースはグラフや数字が多く、簡単には理解できるものではありません。でも、ニュースを見ている大人たちの様子を見て「何か大変なことになっている」ことはわかる。トイレットペーパーを殺気だって買い占める親の姿を見たら、子どもがどう思うのか。いま一度考え、落ち着いて欲しい。

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 今回は「映像による恐怖」がない分、親の言葉の影響が大きくなっています。連日伝えられるショッキングなニュースに、親の方がパニックになってしまい、興奮した親の言葉が子どもを傷つける恐れがあります。

 東日本大震災のときも、無邪気に津波の真似事をして遊んでいた子どもたちに、親が「津波が来たら家も流れてメチャクチャになるのよ」と叱って、心理的に悪影響を及ぼしたケースがありました。それが事実だったとしても、子どもにとっては一種の脅しのように聞こえてしまうのです。

親同士の冗談も、子どもの会話に影響する(写真はイメージ) ©︎iStock.com

 親同士の会話にも注意が必要です。家庭で咳をした父親に、母親が「パパ、コロナじゃないの? いやだ、こっちこないでよ」と言ったとします。大人同士であれば、それが他愛もない冗談で済むでしょう。

 でも、それを聞いた子どもたちはどう思うのか。次の日学校で、咳をした友達に対して「お前コロナだ、こっちくんな」と言うようになる。子どもたちは日常の出来事を、自然と遊びのなかに取り入れていきますから。