日本で「バナナケーキ」が流行り始めている理由
日本の場合、流行しつつあるのが「バナナケーキ」の手作り。SNSでもレシピや写真の投稿数がじわじわと増えている。そもそも、前から「タピオカミルクティーの次はバナナジュース」と予測されていたので、液体のジュースが固形のケーキに変わったかたちだが、理由はそれだけではない。
かわいいモデルみんな家に篭るとバナナケーキ作るのなんでですか?
— 丸山礼 (@_iremaru) April 14, 2020
まず、バナナケーキというアイテムから見えてくるのは、作っているのは、ひょっとしたらケーキを焼くのは初めて、という超初心者が多いことだ。長方形のパウンド型で焼くことが多いので、パウンドケーキの仲間のように思えるが、実はこれ、ものすごく簡単に作れるアメリカの「クイックブレッド」の一種なのである。
クイックブレッドとはベーキングパウダー(膨張剤)で膨らますパンや菓子のこと。具はバナナ以外に、キャロットやコーン、ズッキーニも人気がある。
パウンドケーキより甘みが控えめであっさりしていて、果物や野菜たっぷりなので、ヘルシーな感じがする。おまけに小麦粉の比率が多いので、おやつだけでなく、一食になるボリューム感もある。バターの量が少なく、サラダ油でも代用でき、材料費はパウンドケーキより経済的だ。
簡単すぎて商品にしづらい
パウンドケーキは、バター、砂糖、卵、小麦粉を1パウンドずつ使うのが名前の由来。フランスでも、カトルカール(4分の1が4つという意味)と呼ばれる。とにかくバターと卵の量が多いので、このふたつを完璧に乳化させ、濃厚さを感じさせない味と、しっとりふっくらの食感に焼き上げるには、確かな技術を要する。洋菓子店の必須で定番の商品になっているのは、プロのパティシエが作るにふさわしい菓子だからだ。
対して、バナナケーキを売っている店は、ほぼ皆無。なぜなら現在、日本の洋菓子の主流であるフランス菓子のパティシエにいわせると、バナナケーキは「あれをいったい誰が下手に焼けるの?」というくらい簡単すぎて、商品にしづらいからだ。ただ混ぜるだけで、ベーキングパウダーの力で放っておいても膨らむので面白みが少なく、おまけにコンビニでも買えるバナナでは、プレミアム感が出せない。