親が「不安だ」と語る理由
「中学生の場合は、中間考査がとても心配。オンライン授業だとどれだけ学べているのかが分からないし、授業の内容も見ると充実していない。うちの場合、その日の授業をすべてダウンロードして、ほぼ午前中に学校の授業を終わらせて、午後には塾のオンライン授業や課題をやっています。
担任の先生にこんな授業スタイルでもいいのかと聞いたら、今はまだ手探りだから仕方がない、なんていわれたんですけど、この状態がこのまま続くかと思うと不安です。
小学生は集中力がないし、テレビ授業を受けている姿を写真で撮って学校に提出しなければいけないので、ともかく誰かがついていないといけない。“これじゃあ、母親の新学期”なんてママ友と話してます。私も在宅勤務が認められている間はいいですが、その後どうすればいいのか、頭が痛いです」
通信会社に勤めている彼女は2月末から続いていた在宅勤務が4月初めから通常勤務に変わった。
「子供が小さかったり、低学年だったり、妊婦や基礎疾患がある人は4月末まで在宅勤務が延長になりました。私の場合はまだ恵まれているとは思うんですけど」
そう前置きしながら、「それでも負担は半端ない」とこぼしていた。
塾の中にはこうした父兄の不満の声をキャッチし、生徒を塾に“登校”させ、学校のオンライン授業を一緒に見ながら講義したり、講師が家に出向いて一緒に授業を受けるサービスを始めるところも出てきている。
これは共働きの家庭の子供を対象にしたものだが、「余裕のある家はおカネもだせるでしょうけど、これじゃあますます学力格差が広がりそう」と前出の彼女はぼやいていた。
高校ではPCを持たない生徒への貸し出しも
なにせ初めてのオンライン授業なだけに教師の側も試行錯誤のまっただ中だ。50代の公立高校の教師は言う。
「高校では学校別にEBSオンラインクラスを利用しています。EBSオンラインクラスの中から授業を選択してその資料を生徒にメールで送り、課題を出します。課題は直接持ってくる生徒もいればメールで送ってくる生徒もいる。30~40代の教師の中には自分で授業を製作している人もいますが、時間がかかるから今はまだそれほど多くありません。うちの高校では2割ほど」
パソコンを持たない生徒は全体で数人いたそうで、学校から貸し出したという。教師は毎日学校に出勤し、教室でオンライン授業を受けているかどうかを確認する。進捗率が自動的に出てくる仕組みになっているので確認は容易だそうだが……。