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2020/06/12

「生分解性プラスチックは善で、焼却処分は悪」?

 リサイクルを否定するつもりはまったくないが、プラスチックの処理方法を考える際には、そこに量的な見方を加えて冷静に考えてみることも大切だ。なんとなく雰囲気で行動するのではなく、数字で見てみようということだ。

 繰り返すが、原油の8割は「熱源」「動力源」として燃やされている。かりにプラスチックごみの全量を焼却処分したとしても、それは3%にすぎない。

 リサイクルには焼却にくらべて多くの費用がかかる。仙台市のごみ減量・リサイクル情報総合サイト「ワケルネット」によると、レジ袋をリサイクルする場合は1キログラムあたり69・8円、家庭ごみにまぜて処分する場合は30・5円かかる。プラスチックの容器や包装として分別してリサイクルするには、より多くの税金を投入しなければならない。東京都の自治体のなかにも、限られた税収からその費用を工面できず、ペットボトル以外のプラスチックごみを生ごみなどといっしょに焼却しているところがある。

 焼却処分は、埋め立てなどで処分することになる最終的なごみの容量を減らすには有効な手段だ。外国へのプラスチックごみの輸出を含め、ごみ処理の正規ルートに乗らないプラスチックを減らすことにつながる可能性もある。

 もし、焼却で二酸化炭素が出るのがいけないというなら、自然界で分解されて消滅する生分解性プラスチックも使えなくなる。分解して最終的には二酸化炭素と水になるからだ。その点では、焼却とおなじ末路だ。「生分解性プラスチックは善で、焼却処分は悪」という単純な図式にはなっていない。

 繰り返すが、リサイクルに向かういまの流れにあえて逆らうつもりはない。当面は焼却処分を続けるにしても、早期にリサイクルに移行するにしても、「地球にやさしいバイオプラスチック」というたぐいの感覚的なキャッチフレーズに安易に乗っかるのではなく、「3%」「7割」「8割」といった数量的な事実、そして費用も考慮に入れながら、この社会にとっていちばんよいプラスチックの使い方を考えていきたい。

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本来の目的はどこにあるのか

 プラスチック容器をリサイクルするには、使い終わったら汚れを落として回収にまわすことが必要だ。油などの汚れが多くついたままの容器は、リサイクル原料には適さない。ポリプロピレンの容器なら、ポリプロピレン以外の成分がまじっていては困るのだ。

 では、その油をお湯でよく洗えばよいかというと、それにもまた問題がある。水を温めてお湯にするにはエネルギーがいる。かりにそのお湯を石油を燃やして沸かしたとすると、そのときに使う石油の量が、容器を新しくつくるのに必要な石油の量を上回ってしまうかもしれない。すくなくとも、石油の消費を減らすという観点からは、お湯で洗うことはマイナスの効果になる可能性がある。地球のためを思ってリサイクルしようとしたのに、それがかえって地球に余計な負荷をかけることになるかもしれない。