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終戦、75年目の夏

 カラー化された写真の色彩は「実際の」色彩とは異なります。できる限りの「再現」を目指していますが、まだまだ不完全です。私たちは「過去の色彩の記憶をたどる旅」を、日々続けています。おそらく、永遠に終わらない旅です。本書はあくまで、現時点での成果物にすぎません。あたたかく見守っていただければ、と思います。

 なお、当時のモノクロ写真そのものが、かけがえのない貴重な資料であることは言うまでもありません。本書に収録したカラー化写真は、個人蔵のもの、新聞社提供のもの、海外でデジタルアーカイブ化されているものなど、多彩かつ貴重なモノクロ写真をもとに作成したものです。しかし、本書ではページ数の都合上、すべてのモノクロ写真を収録することはできませんでした。巻末に写真提供者リストを掲載しており、そのうち、URL を記載したデジタルアーカイブの資料は、基本的にパブリックドメインで公開されています。ぜひ、アクセスしてみてください。

1945年6月13日。沖縄戦にて。破壊され尽くした那覇の廃墟を眺めるアメリカ兵
1945年6月25日。沖縄で米軍に投降する「白旗の少女」比嘉寛子さん。従軍カメラマンのジョン・ヘンドリクソンが撮影

しあわせな暮らしが、少しずつむしばまれていく

 戦前の広島・沖縄・国内のようす。そして開戦から太平洋戦線、沖縄戦・空襲・原爆投下・終戦。自動カラー化ののち、写真提供者の証言、資料、SNSでの時代考証などを踏まえて仕上げた、約350枚のカラー化写真が収録されています。

 しあわせな暮らしが、少しずつむしばまれていくようす。戦禍が日常に。そして焼け跡から生まれた希望。一葉一葉をめくり、眺めながら、過去のできごとに思いを馳せていただければ幸いです。

1945年8月15日。玉音放送をラジオで聴き、涙を流す日本軍の捕虜。グアムの収容所で撮影された写真

【続き】あばら骨と皮だけの日本兵、焼け野原で談笑する広島のカップル――敗戦を実感する“10枚の写真”とは? へ)

[1] 渡邉英徳、庭田杏珠:「記憶の解凍」:カラー化写真をもとにした“ フロー” の生成と記憶の継承;デジタルアーカイブ学会誌、第3 巻、第3 号、pp. 317-323、2019 年6 月
[2] Anju Niwata and Hidenori Watanave: “Rebooting Memories”: Creating “Flow” and Inheriting Memories from Colorized Photographs; Proceedings of SIGGRAPH ASIA 2019 Art Gallery/Art Papers, Article No. 4, pp 1-12, November 2019.
[3] ナガサキ・アーカイブ制作委員会:「ナガサキ・アーカイブ」http://nagasaki.mapping.jp/(2020 年6 月15 日参照)
[4] ヒロシマ・アーカイブ制作委員会:「ヒロシマ・アーカイブ」http://hiroshima.mapping.jp/(2020 年6 月15 日参照)
[5] 活動の開始時点においては、自動色付けに用いるAI 技術として、早稲田大学(現・筑波大学)の飯塚里志先生、シモセラ・エドガー先生、石川博先生たちの研究チームが開発したものを利用していました。現在は、シンガポール政府が公開しているAIなど、複数の技術を組み合わせて用いています。
[6] 映画『この世界の片隅に』の冒頭シーンに、濵井理髪館とご家族が登場します。

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