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2020/10/10

何十年も現場が保全されるのはレアケース

 その一軒家は証拠保全の観点、そして遺族の意向から現在も取り壊されておらず、警察官が常駐して警戒にあたっています。しかし、そのような形で現場が守られ続けるのは非常にレアケースだといえます。というのも、大多数の事故物件は、事件の犯人が捕まっていなくても平気で取り壊され、売りに出されたり、貸し出されたりするからです。

 世田谷一家殺害事件の犯行現場は、そもそも公園予定地だったので、今後たとえ取り壊されたとしても、その土地が不動産市場に出回ることはありません。しかし、普通の物件で殺人事件が起きた場合、証拠保全のために何十年も現場をそのままにしていては、資産としての価値が無駄になってしまいます。

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 そのため、警察の捜査や証拠資料の採取が一段落したら、その時点で新たな入居者やオーナーを探したり、建て替えたりするケースが圧倒的に多いのです。

犯行現場の跡地に建てられたのは……

 たとえば、昨年の記事でもご紹介した東京都板橋区の事故物件。そこにはかつて資産家の夫婦が住む“豪邸”がありましたが、10年ほど前に、その2人は何者かによって殺害されてしまいました。

 結局、2人を殺害した犯人は今も捕まっていません。しかし、その現場となった豪邸は既に取り壊され、今では約30軒の戸建て住宅が密集する“住宅地”に様変わりしています。犯行現場となった建物はおろか、その土地さえ事件発生時の姿から大きく変わってしまっているのです。

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 この板橋区の例では、犯行現場となった建物が取り壊されていますが、一方で、未解決事件の現場をそのままの形で“再利用”しているケースもあります。