きょう12月21日は、俳優の本木雅弘の55歳の誕生日である。来年には、1981年にドラマ『2年B組仙八先生』で芸能界にデビューしてから40年を迎える。
デビューの翌年に布川敏和、薬丸裕英とアイドルグループ・シブがき隊を結成、1988年の「解隊」後は所属していたジャニーズ事務所を退所し、俳優業を中心に活躍を続けてきた。
俳優としてまず注目されたのは、修行僧となった青年を演じた映画『ファンシイダンス』(1989年)だろう。監督の周防正行によれば、初対面時、まっすぐに人の目を見て話す本木が、永平寺で取材したお坊さんとよく似ており、姿勢もよくて立ち姿も美しく、これなら芝居が下手でも大丈夫だと思ったという。
浮世離れした高貴なイメージを持つ本木
いざ撮影が始まると、本木は芝居が下手どころかちゃんとできるうえ、周防のことも事前に調べて、彼が影響を受けた映画監督の小津安二郎のことなども勉強してきた。《それで見事に“小津”してくれちゃうから、僕[周防]が「いや、そこまでしなくていい」って逆に言うぐらい》だったとか(※1)。
僧侶のようなストイックさ、どこか浮世離れしていて高貴さすら感じさせるイメージは、いまにいたるまで彼につきまとう。撮影には、事前に役について調べるなど十分に準備してのぞむ姿勢も変わらない。
出演歴を振り返ると、歴史上の実在の人物を演じることも多い。たとえば、1995年にNHKで放送されたドラマ『涙たたえて微笑せよ――明治の息子・島田清次郎』では、作家・島田清次郎に扮した本木のエキセントリックな演技に驚かされた。
NHKではこのあと、大河ドラマ『徳川慶喜』(1998年)、ドラマスペシャル『聖徳太子』(2001年)でも主演を務めている。いずれも高貴な役どころである。篠田正浩監督の引退作となった映画『スパイ・ゾルゲ』(2003年)では、戦前においてドイツ人ジャーナリストのゾルゲの諜報活動に参加した尾崎秀実(ほつみ)役に起用された。上海でのロケではセリフはすべて英語だったが、本木は見事にこなしてみせた。