2015年4月14日の日経新聞によれば、08年北京大会の国内スポンサー収入は当時の為替レートで約1460億円であり、14年ソチ冬季大会は約1560億円だったとされている。そして今回の東京オリンピックでは、従来守られてきた一業種一社の原則さえ外し、史上最大と推定される4000億円以上と推定される資金を集めている。
もちろん、一業種一社の原則を外すことはJOC単独でできることではなく、IOCの許諾を得ている。つまりIOCは、過度の商業主義を戒めてきた従来の規制もやめて、さらに多くの協賛金を集める方向に舵を切ったのだ。
その方針に応じた多くの企業は東京大会を収益確保の絶好の機会と位置づけているのであり、間をとり持つ電通は、すでに協賛金のマージンだけで数百億円の利益をあげているはずだ(金額は非公表)。
IOCと五輪貴族を支えるスポンサーシステム
五輪は4年に一度しか開かれないが、その間もIOCや世界各国の五輪委員会は様々な活動をしている。その活動を支えるのが、企業協賛によるスポンサーシステムである。
そのカテゴリーはIOCと契約して全世界で五輪マークを使えるTOP(The Olympic Partner)であるワールドワイドパートナーと、五輪開催国の組織委が独自に集めることができるオリンピックパートナー呼称は各国で少しずつ異なる)に大別される。そのオリンピックパートナーの中で、協賛金の額によってさらに数段階のカテゴリーに分かれている。組織のHPをご確認いただけたらと思う。
五輪協賛においてもっともランクづけが高いのが、14社しかない「ワールドワイドオリンピックパートナー」だ。彼らはIOCと直接契約し、世界中でオリンピックのロゴを活用したマーケティング活動が可能となっている。全世界で周知できるため金額も破格で、4年契約で1年あたり100億円程度と言われている。
どの企業も言わずと知れたグローバル企業であり、ゴールドパートナーとして世界中どこの国の自社広告でも五輪マークを使用してスポンサーであることを周知できる。このカテゴリーは一業種一社制となっており、マーケティング的価値も極めて高いと言えるだろう。
だが2017年には、1997年から20年間にわたってワールドワイドスポンサーであった米ファストフード大手のマクドナルドが撤退した。超グローバル企業といえども巨額の協賛金負担は重く、同社にとっての価値がかつてほどではなくなりつつあるのではないか、と世界中で話題になった。
IOCと直接契約するワールドワイドパートナーの次のランクが、各国内の五輪委員会と契約するオリンピックパートナーである。今回の東京大会では上からゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーターという3つのランクに分けられており、2021年4月現在でそれぞれゴールド15社、パートナー32社、サポーター20社の計67社となっている。その契約金は明らかにされていないが、ゴールドは150億円、パートナーは60億円程度と推測されている。つまり、67社で4000億円以上の協賛金を集めていると考えられるのだ。