酒のつまみのように火災事件を振り返る若者
「あの後、何日か後にもデカい火事が起きたんですよ」
「それも放火じゃないかって言われてる。タイミングからして、日進町のヤツと同一犯かも」
「まぁ、川崎は放火が多いからな。前に友達のばあちゃんが捕まったこともあったし」
川崎区の臨海部を横断し、絶えず行き交うトラックの排気ガスが近隣住民を悩ませてきた、産業道路こと神奈川県道6号東京大師横浜線。その脇にあるファミリーレストランで話を聞いた若者2人は、ビールのジョッキを空けながら、酒のつまみにでもするかのように、簡易宿泊所火災事件について振り返った。
「同じような事件でも報道されるものとされないものがあって。『あ、そっちはされて、こっちはされないんだ』みたいな」
「逆に小さい事件は騒がれたりする。強盗とか」
「あの河川敷はリンチをやるときの定番の場所」
彼らは中1殺害事件についても同じような調子だ。
「もはや、懐かしいな」
「ああいう事件も川崎ではよく起こるから」
「そもそも、あの河川敷はリンチをやるときの定番の場所で。今までだって死んだヤツはいるし」
では、「最近、起きた気になる事件は?」と聞くと、2人は俄然、盛り上がり始めた。
「友達が捕まったことかな。150万ぐらい保釈金払って出てきたのに、またすぐ」
「無免許で轢いたんでしょ?」
「相手が植物状態になったみたい」
「えー、それ知らなかった。ヤバいね」
確かに、端から見ていても、2015年、川崎駅周辺では立て続けにインパクトのある事件が起きている。メディアもまた中1殺害事件に関してはすっかり飽きてしまったようで、今盛んに取り上げているのは、川崎駅西口側にある有料老人ホーム〈Sアミーユ川崎幸町〉で入居者の転落死が相次ぎ、その後、施設内で虐待が行われていることが発覚した事件だ。
(#2へつづく)
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