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女の子だけがリスクを一方的に負わされている

 そもそも13歳~15歳の子に、性的な行為をするかどうかについて、適切に同意する能力があるといえるのだろうか。小学校と中学校の学習指導要領では、妊娠に至る過程について教えてはならないとされているから、性について正確な知識はゼロに近い。

 女の子だけが妊娠や中絶・低年齢による出産のリスクを一方的に負わされ、性感染症による将来の不妊など、人生に関わる事項について多大なダメージを受ける。その年ごろの子は一人で産婦人科に行くことも難しいから、妊娠の事実を誰にも言えないまま臨月を迎え、一人で産んで新生児を遺棄し、犯罪者となるケースさえある。

 特に相手が成人の場合は、同意の前提となる両者の対等性がない。「グルーミング」と言われる手なずけ行為、誘導等によって恋愛だと誤信させたり、自己肯定感が低い子の承認欲求をうまく利用し、未熟さに付け込んだ性的搾取が横行している。「真摯な恋愛」「真の同意」というマジックワードが独り歩きして、多くの未成年者が性的被害を受けながら、「暴行・脅迫がない」「加害者が同意があると誤信した」等という理由で、事件化されずにいる。

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 真摯な恋愛であるなら、せめて相手が義務教育の子どもである間は、性的行為を伴わない交際をすべきだ。仮に子どもの方からアプローチされたとしても、だ。性的関係を拒否したことで関係が崩れるようであれば、その程度の一時的な感情に過ぎなかったということではないか。

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16歳未満同士の場合は「保護の対象」とすべき

 一方で、同意年齢を16歳とした場合に、16歳未満同士の恋愛関係に基づく性的行為を処罰すべきなのか、という問題がある。

 16歳未満同士であっても、妊娠や中絶、性感染症の危険等については、一方が成人の場合と同様である。しかし、中学生同士だと、双方ともに性的行為についての正確な知識がないうえ、特に性交については、親のネグレクトや非行が原因になっているケースが多い。したがって、成人からの性的搾取とは次元が異なることから、刑罰の対象とせず、「保護の対象」として免責されるべきと考える。

 参考となるのが、18歳未満の者に対する性交等を処罰する青少年保護育成条例だ。47都道府県のうち、43都道府県に何らかの免責条項がある(なお、4つの県には免責条項はないが、運用で事実上免責されている)。