“高額ゴチゴルフ”だけじゃない平田氏の公私混同
8月1日、自宅を出た平田氏は電車に乗りどこかへと向かった。首にはオリンピックのIDカードをぶら下げている。到着したのは、男子ゴルフ最終ラウンドの会場となっていた名門・霞ケ関カンツリー倶楽部だ。松山英樹が惜しくも4位となりメダルを逃したが、ゴルフファンの多くが注目した試合だった。
翌2日、朝からメディア各社が前日の松山の惜敗を報じていた。ゴルフ熱が冷めやらぬなか、午前8時前に平田氏の自宅へやってきたのは「TOKYO2020大会関係車両」のステッカーが張られた黒のクラウン。前週7月26日に平田氏がRIZAP GOLFから内閣府へ向かった際と同じ車両だ。
お抱えの運転手がうやうやしく扉を開けると、平田氏は車に乗り込んだ。その後、平田氏を乗せたクラウンは麻布十番にある病院を訪れ、2時間滞在した後、内閣府へと向かった。
この日、平田氏はRIZAP GOLFに16時からのゴルフレッスンを予約していた。15時半になると平田氏の乗るクラウンが内閣府を出発し、六本木通りから小道をくねくねと進んで人目に付きにくい位置で停車すると、手ぶらの平田氏が周囲を窺いながら降りてきた。向かった先はやはりRIZAP GOLF六本木店だった。平田氏は50分のレッスンを2回分こなした後、待っていた公用車に乗り込み、18時過ぎに内閣府へと戻っていった。
「公用車の私的利用」ではないのか?
公用車の私的利用をめぐっては、2016年に舛添要一元東京都知事がほぼ毎週末、湯河原の別荘までの往復に公用車を使っていたことが判明し、その後辞任。2018年には林芳正元文部科学相が公務の間に都内のヨガ店に公用車で通っていたことが判明し、釈明に追われた。
前出の国際基督教大学の西尾隆特任教授が語る。
「公用車でゴルフのレッスンに通っている場合、公務と関係するかどうか、総務省などが個別に判断しますが、公私混同のそしりは免れません。
公用車ならば利用記録があるはずで、『使っていない』という言い訳は成り立ちません。その上で本人がこの運用を『問題なし』というのであれば、具体的にどう公務と関係しているのかを説明する責任が生じるでしょう」
公用車での“ゴチゴルフレッスン”を公務であると言い切るには無理があるだろう。しかし、今回の問題点はそれだけに留まらない。
実は、開会式直前の7月14日に書面開催された「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る交通輸送円滑化推進会議(第8回)」で、7月19日~8月9日、8月24日~9月5日のオリンピック、パラリンピック開催期間中の「事務方幹部の朝夕の公用車による送迎(登庁・退庁)を原則中止」が記されていたのだ。
会議には橋本聖子氏や各省庁、各業界団体の役職者らが名を連ねた。座長を務めるのはなんと平田氏だ。大会中の交通量抑制を呼び掛けておきながら、自分は悠々と公用車で通勤していたことになる。