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「リアル」以上に「リアリティ」がある

ゲーム内で描かれた温泉

 ゲームの壱岐は、現実に沿って忠実に再現されているわけではなく、モデルにしたであろう史跡や名勝の所在地に違いがあったりします。この点はゲームのデザイン上仕方のないことで、ギミック(仕掛け)を作る上でゲームの面白さを優先しているためでしょう。それでも「イメージ」がしっかりとらえられているのが見事です。「リアル」である以上に、「リアリティ」があるのです。

ゲーム内で描かれた猿の像
猿の像が並んでいる男嶽神社(おんだけ)神社(写真提供:(一社)壱岐市観光連盟)

 ちなみに、一般的にアニメでは、作品のモデルになる街を設定し、その景観を再現することがよく行われています。例えば、興収50億円を突破したアニメ映画「竜とそばかすの姫」も、高知県の鏡川、日本有数の清流として知られる仁淀川などが忠実に再現されて、描かれています。

「ゴースト・オブ・ツシマ」はオープンワールドと言われる手法で、箱庭のように、今回であれば壱岐をまるごと再現しています。ゲーム内と現実で多少の違いはあるにしても、その世界をプレーヤーの意思で自由に歩き回れるのは、疑似的な観光といえるのかもしれません。

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「Ghost of Tsushima」で壱岐の北東部を近くの高台から見下ろす。実際の「辰ノ島」とは異なり、荒々しい岩礁になっている。
こちらが実際の「辰ノ島」(写真提供:(一社)壱岐市観光連盟)

 もちろんゲームの面白さと、観光は本来無関係なお話です。しかし、ゲームに観光客を呼び込む効果があるのであれば、新しい視点のビジネスが生まれる可能性もあります。

 今は新型コロナウイルスの感染拡大で、コンテンツの舞台になった場所にファンが足を運ぶ「聖地巡礼」はなかなか難しい状況ですが、コロナ禍が落ち着けば、壱岐にどのくらいの人が足を運ぶのか……ぜひ知りたいところです。そんな日が一日も早く来ることを祈りながら、まずはテレビの前で感動しながらコントローラーを握りしめてみたいと思います。

ゲーム内写真:(C)2021 Sony Interactive Entertainment LLC. Ghost of Tsushima is a registered trademark or trademark of Sony Interactive Entertainment LLC.Developed by Sucker Punch Productions LLC. The Sucker Punch Logo is a registered trademark or trademark of Sucker Punch Productions LLC.