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小泉進次郎さんに伝えたい再生エネルギー周辺の雑感

安易にバズワードを作るのではなく

2021/09/13
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石油も鉱物もなければ、平地も少ない我が国

 で、私も情報法制研究所という一時期はLINE社の手先と中傷されたシンクタンクや、大手シンクタンクの用心棒のような扱われ方をすることもある次世代基盤政策研究所というところに所属しつつ、偉そうな先生にこき使われつつ日本の再生エネルギーの未来について少しずつ勉強しながら、具体的な政策にどう着地させるのか研究しています。

 一連の議論を見ていて思うのは、石油も鉱物も資源がほとんど産出されない我が国日本は、再生エネルギーにおいても実にこう、極東の弱者だなということです。ただでさえエネルギーも鉱物資源もないのに、今回はさらに再生エネルギーでも「適した場所がない」とかいう駄目な土地であることが分かってしまっておるのですよ。

 まず、端的に言って国土を見渡してみると山ばっかりで平地が少ない。その平地を、1億人以上の人口が細かく分け合って住み、山も急峻で、多雨なのに水源管理しないとすぐに水不足になってしまう残念な国土の形態を取っています。しかも太平洋側すぐにはプレートの沈み込みが日本海溝を作り、地震の巣になっていて自然災害が他の地域に比べて格段に多いわけですよ。定期的に台風は来るわ、不安定な雨季はあるわ、夏暑く冬寒いので、快適に過ごすためには多くのエネルギーが必要です。そのエネルギーを、火力・原子力から再生エネルギーにしようとなると、難題が沢山立ちふさがります。

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 そうなると、日照時間の多そうな地域に太陽光パネルをたくさん置いて再生エネルギーだよと言っても置ける平地が少なすぎて山を切り開いたり、何かを埋め立てないといけない。その結果が、熱海市の土石流にもつながっているのだと思うと、再生エネルギーは大事だからと山を削って土地を造成する恐ろしさもまたご理解いただけることでしょう。

断熱については後進的もいいところ

 さらには、温暖化の影響によって多少改善したとはいえ豪雪地帯が多く、住戸も断熱が行き届いていません。もともとは日本は高温多湿な夏を凌ぐために風通しの良い家を良しとし、冬寒いときは何か燃やしながら厚着すればどうにかなるでしょという文化だったために、最近ようやく住宅の断熱についての議論が始まるほど、この分野では後進的でした。

 その結果、越冬のために自宅でエネルギーを使い、また、街中で除雪が必要な地域は、ただそこに住んでいるというだけで二酸化炭素をたくさん出し、温暖化の原因にされてしまいます。地球環境のために寒いところに住むなと言われると申し訳ない気分もしますが、例えば瀬戸内海に面した温暖な地域と比べると、計算によっては寒冷地に住む日本人は2倍近く温暖化ガスを出してるという試算もあります。