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小泉進次郎さんに伝えたい再生エネルギー周辺の雑感

安易にバズワードを作るのではなく

2021/09/13

必要なのは、バズワードを作り流行に乗っかることではなくて

 さらには、排出する二酸化炭素を削減するだけじゃなくて、出してしまった二酸化炭素をアミン溶液なども駆使しながらかき集めて貯蔵したり、地中深く井戸を掘って排出されないよう格納するようなCCS(Carbon dioxide Capture and Storage=二酸化炭素回収・貯留)技術も視野に入れて、公的資金で推進する必要も出るでしょう。昨今では、空中の二酸化炭素を取り込むというDAC(Direct Air Capture)なる技術に2兆円もの投資が集まってみたものの、今度は「そのかき集めた二酸化炭素をどうするつもりなんや?」という話が抜け落ちていて、河野太郎さんが嫌いな使用済み核燃料廃棄と同じ問題が繰り返されかねません。

 化石燃料への依存も、バイオマスほか代替燃料や水素燃料のようなものに移転させるにしても、これらも結局は電力が必要になります。いまかまびすしいEV自動車の普及促進についても、結局は発電能力とそのコストが問題になる以上、エネルギー政策が物事の根幹にあったうえで、いかに効率よくエネルギーを使い、寒冷地に人が住まないようにするかというところまで考えていかなければならなくなります。

 そこへ、政府がそういう方針だからと割と安直に「スーパーシティ」を立ち上げ、都市機能をスマートに集約させるという流れが出てきていますが、いま必要なことは単に必要だ、単に便利だとコンセプトを立てバズワードを作り、みんなで流行に乗っかることではなくて、より長期の30年、50年といったスパンの人口とエネルギーとコストと産業を見比べながら、最適な答えを出していく作業なのではないかと思うんですよ。

地道な問題がエネルギー問題へつながっている

 河野太郎さんが総裁選に出るにあたり、原子力発電のことを問われて口をつぐむ局面もありましたが、原子力であれ、あるいは高効率の火力発電所であれ、再生エネルギーの比率を上げる方向は堅持しつつも、使えるものはちゃんと計画的に使って国民全体の合意を得て、二酸化炭素をまずは削減していくしか方法はないと思うんですよね。

 でも、内閣府に設置されている「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(再エネTF)」には河野太郎さんともゆかりの深い人物が選任されて政府の再生エネルギー政策に影響を与えていますが、そこにソフトバンクが福島第一原発事故を機に設立した自然エネルギー財団に関わる人物が堂々と混ざっていたり、これは完全な利益相反というか利権・利益誘導そのものじゃないかと思うんですよね。新総裁を迎える我が国の再生エネルギー政策が適切な形で着地することを祈るばかりです。

 それは、パッと見てもエネルギーとは無関係そうな、地方経済の立て直しや人口構造、都市機能への国民・周辺住民の集約、教育・病院・文化・福祉の充実といった、地道な問題が直接影響しています。

©️iStock.com

 エネルギー安全保障はこれぞ国家の根幹であって、間違ってもセクシーかどうかで判断しちゃいけないことだと思うんですが、このまんまで良いものなのでしょうか。

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