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「副業すればいいじゃないか。はい、次」?

 配達員はUberと雇用契約の関係にないために労働法が適用されないなど、こうした業務委託が問題視されるなかにあって、なんと無邪気なふるまいであろう。

 そもそもひとつの職業の収入で生活できないのは、社会の歪みである。それを正そうとせず、つまり賃金が上がるように、あるいは非正規雇用を減らすようにではなく、副業によって食えるようにしようというのであれば、菅義偉以上に自助を求める社会を生み出そうとしている。

 それにしても、これは一体、なんのセレモニーだったのか。苦境を訴える者に「生活が苦しいのなら、副業すればいいじゃないか。はい、次」とでも言うための前フリなのか。

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 これを雇用の流動化を推し進めるためのパフォーマンスとしてみれば、竹中平蔵と気が合いそうに思える。そういえば河野が「長老」を嫌う理由に、彼らによって小泉構造改革が貫徹できなかったとの思いがある(二宮清純との共著『変われない組織は亡びる』祥伝社・2010年)。

日本記者クラブ主催の公開討論会での候補者たち(左から河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子) ©AFLO

 テレビでは総裁選候補者4人に「○」「×」の札を持たせて、夫婦別姓などの可否について聞いているが、そうしたコーナーをやるのであれば、竹中平蔵を政府の経済財政諮問会議の一員に入れるのか否か、これを問うてくれればよかったろうに。

 河野は果たして、○なのか×なのか。

(文中敬称略)

(注1)河野太郎の所見発表演説は下記を参照した。
自民総裁選 所見発表演説会(全文1)再エネ100%も絵空事ではない(yahooニュース)

(注2)高市早苗の所見発表演説は下記を参照した。
自民総裁選 所見発表演説会(全文3)日本経済強靭化計画で経済建て直す(yahooニュース)