――では、競技そのものを頑張ろうと思ったきっかけが何かあるんでしょうか?
新海 上を目指すようになったのは小学6年生の夏にあったジュニアオリンピックのタイミングで。各種目ごとに上位2人だけが選ばれて、全国のエリート小学生が集められるような合宿があるんですけど、なんとかそれに行きたいと頑張っていたときですかね。その選考レースは結構緊張しました。
あ! 選出されたら親に携帯を買ってもらうっていう約束をしていたんでした! ここでも競技そのものを頑張る以外の理由がありましたね。
でも、合宿に行って、オリンピック選手の話を聞いたり、水泳という競技だけじゃなくて、アスリートとしての栄養学とか、いろんなことを学んでから、意識が変わったというか。当時の経験が水泳に打ち込むきっかけになったのは確かです。
選手間の“嫉妬”
――それからも水泳を続けられて高校は推薦で入学されたんですよね。高校では寮生活になったとのことですが、どんな生活でした? イメージなんですが、こう、二段ベッドが両脇に置かれていてみたいな……。
新海 色んなことが成績によって決まるんですよ。“インターナショナル”の標準記録を切っていたら、一人部屋になるみたいな。そういうのは水泳をやってきて結構あったように思います。設定されたタイムを切っていれば、ジャージの色が変わる、とか。私はインターナショナルの標準記録は切っていたから、寮での待遇も悪くなくて、あと、寮生活とはいえ週に1回は実家に帰っていたので、ホームシックもなくて。
――では、寮での生活それ自体にはストレスはなかったのでしょうか? 例えば、人間関係のトラブルとかはどうでしょう。
新海 あー……ありますね。でも、しょうもないことですよ!
単純に嫉妬とか。私は標準記録を切ったけど、ある子は切れなかった。そしたら、嫉妬、みたいな。しょうもないですよね。「自分が頑張ればいいやん」と思っていました。
あと、寮則を守らない人との間で……っていう感じですかね。ピアスを開けたりとか、髪の毛の決まり事とか。まあ、高校生ってお洒落をしたい年頃じゃないですか。だから寮則を破ってそういうお洒落をする子たちがいて。でも、私はそういうのが許せなくて、注意する側というか。通っていた高校は、過去にすごい選手がいっぱいいた学校だったので「恥ずかしくないの?!」って。実際に口に出して言ってました。そういう意味でストレスはあったかもしれません。