その政党の議員が「懲らしめる」対象として考えるメディアが、自分の愛読している新聞だったら、どうしますか? あってはならないことだとは思いませんか。
状況が悪化しているのはロシアばかりではありません。次はトルコの状況です。
2014年12月、トルコの警察当局は、トルコの大手新聞「ザマン」の編集長やテレビ局のプロデューサーらジャーナリストを中心に27人の身柄を拘束しました。
大手新聞「ザマン」とは「時」という意味ですから、英語名にすれば「タイム」ですね。トルコを代表する高級紙ですが、エルドアン大統領が独裁色を強めるにつれ、政権批判を強めていました。
エルドアン氏は、首相の任期中に大統領選挙に出て当選。トルコは首相が政治の実権を握り、大統領は象徴的な国家元首にすぎなかったのですが、エルドアン氏が大統領になるや、憲法を改正して、大統領に実権を集中させようとしています。これを批判的に報道する新聞記者たちは、次々に逮捕されます。
政権からの攻勢に「ザマン」が苦しんでいるのは、編集長逮捕だけではありません。広告料収入の減少に見舞われているのです。
エルドアン大統領による独裁色が濃くなると、これまで「ザマン」に広告を出していた企業が、次々に広告を取りやめるようになったのです。「ザマン」は高級紙ですから、読者にインテリや富裕層が多く、広告の媒体としては魅力です。
それなのに、広告が減少。広告を出すと、紙面で一目瞭然ですから、政権側からの猛烈な嫌がらせにあうというのです。
こうして、トルコの「表現の自由」は蝕まれているのです。2016年、ついに「ザマン」は政府の管理下におかれてしまいました。
「自由民主」の名の行方
「メディアを懲らしめるには、広告収入をなくせばいい」
トルコのエルドアン政権は、まさにそれを実践しているのですね。
そういえば安倍晋三首相は、ロシアのプーチン大統領やトルコのエルドアン大統領と大変ウマが合うことで有名です。安倍首相の応援団を自任する自民党の若手議員たちは、ロシアやトルコに見習うべきだと考えているのでしょうか。