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“過酷すぎるサッカー部”出身の那須大亮が語る「理不尽な部活動を経験しない若手選手の実態」とは《日本代表はW杯2022で勝てるのか》

“過酷すぎるサッカー部”出身の那須大亮が語る「理不尽な部活動を経験しない若手選手の実態」とは《日本代表はW杯2022で勝てるのか》

那須大亮インタビュー#1

note

ユースと部活動の差はなくなってきている

――YouTubeでもいろいろな高校サッカー部やクラブユースに体験入部されていますよね。部活動は泥臭く根性を鍛えて、ユースはもう少しスマートにテクニックを磨くイメージがありますが、実際のところはいかがでしたか?

那須 もちろんそれぞれ特色はありますが、ユースと部活動の差はなくなってきているように感じています。一時期は日本代表には高校出身者の方が多いとか言われていましたけど、そうでもなくなってきていますしね。

©文藝春秋 撮影/石川啓次

 例えば階段登りのような部活動ならではの地道なトレーニングを、ユースチームが取り入れている印象もあります。一方で部活動でもスポーツ理論に基づいたトレーニングをしていますし。お互いのいいところを導入し合っている。

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 ただ実際、高校サッカー部では、一般的には「ちょっと厳しすぎるんじゃないか?」と思われるような練習もまだあります。ですが、プロを見据えるのであればそれも必要。データ化された理に適っているトレーニングだけでは、補いきれない部分はあると個人的には思っています。

無意味そうな「階段登り」もプロには必要

――つまり校庭を何周もしたりダッシュを繰り返したり、ということですよね。それがプロを目指す上で必要だと。

那須 僕が現役を長くやれたのは怪我をあまりしなかったからで、プロで戦うには絶対的に必要になってくる部分です。例えば 階段登りにしても、意味がないという人もいますが、やり方や考え方で練習の質は大きく変わるんです。こうした地道な繰り返しは、腱の強化や筋力強化になって走力は確実に向上する。それが怪我しない身体作りに繋がってもいるんです。

 だから、厳しい走り込みなどを取り入れているクラブユースが増えてきているんだと思います。結局、走力って走りの部分を強化するだけではなくて、怪我予防やメンタル面の強化にも繋がっていきますから。

――積極的に取り入れているのはどこのクラブユースなのでしょうか。

那須 柏レイソルのユースです。現在、柏レイソルU-18のコーチを務める藤田優人氏は国見高校サッカー部出身。その藤田氏が柏レイソルユースに今までなかった、国見高校の厳しい走り込みなどを取り入れている。

サンフレッチェ広島ユースへ体験入部する那須(公式YouTubeアカウントより)

 サンフレッチェ広島ユースもそうですね。僕が体験入部させてもらった時には、国士舘高校が夏の合宿に取り入れている「クーパー走」を取り入れていました。クーパー走は、12分間猛ダッシュして、どれくらいの距離を走れるかを測るトレーニングなんです。とてもキツいですが、呼吸器の鍛錬にもなります。