絶対王者・青森山田高校の強さの「秘密」とは
――そんな大津高校に4対0で勝利を収めたのが青森山田高校です。「第100回全国高校サッカー選手権大会」、「令和3年度全国高校サッカーインターハイ」、「高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2021 EAST」の3大会で優勝する3冠を達成する圧巻の強さでした。
那須 青森山田高校には、一言でまとめられないくらいの強みがありますが、特に今年は「選択」と「決断」ができる選手が多い印象でした。監督から言われた事をやるだけでは勝利には繋がらない。ひとつひとつの行動を自分で選択して、決断して、反映させるというのが重要で、その自己決定ができていました。
あと、やはりトレーニングの量と質のバランスがいい。そんなに長く練習をする訳ではないのですが、非常に濃い時間を過ごしていました。僕は2回練習に参加させてもらったのですが、選手権前というのもあって1時間半~2時間の決められた中でしっかり密度の濃いフィジカルトレーニングをしていました。
――青森山田高校は部内競争が激しいと聞きます。
那須 そうですね。青森山田高校、流通経済大学付属柏高校は部内競争が激しく、入れ替え戦なども行っています。「高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2021 EAST」では、決勝戦で青森山田高校のAチームとBチームが戦うということが起きた。それくらいレベルの高いサッカーをしています。流通経済大学付属柏高校も、プレミアやプリンスリーグに部内のチームが複数出ているなど、部内で競争意識は相当高いですよ。
若い海外選手の“サッカーで生きていく覚悟”
――そこまで競争が激しいと高校生のメンタルを考えると、刺激が強すぎるんじゃないかと思ってしまうのですが……。
那須 海外では、年齢に関係なく競争の意識が若い頃からあります。日本サッカーのレベル向上や、海外との差を埋めるという意味では、そういった環境がより多くあった方が選手は伸びやすい。日本では環境面でも教育面でも平等を美徳とする部分がありますが、海外は生きるか死ぬかの世界。それゆえに海外の選手達は若い頃から“サッカーで生きていく覚悟”が育っています。それが、成長スピードやサッカーの質の差を生んでしまうこともあるんです。
那須氏によると、そうした海外の厳しい環境に代替するものが、日本の部活動特有の“理不尽さ”だった。しかし現代の部活動ではかつてのような厳しすぎる練習を取り入れることはできない。しかしながら、「現代の若い世代は『新しい強さ』を伸ばすことができる」という。那須氏の“若手育成術”とは一体どんなものなのだろうか。
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