1978年作品(105分)/東映/2800円(税抜)/レンタルあり

「スター・ウォーズ」シリーズ最新作の公開が迫ってきた。

 かつて日本映画界も、この壮大なスペースオペラにあやかろうとしたSF超大作を製作している。それが、今回取り上げる『宇宙からのメッセージ』。物語のモチーフは「里見八犬伝」。ガバナス帝国を率いる皇帝ロクセイア(成田三樹夫)に母星を破壊された大酋長(織本順吉)は宇宙に八個の「聖なる実」を放ち、それを受け取った勇者たちがガバナスと戦うという展開だ。

『スター・ウォーズ』の第一作(後のエピソードⅣ)がアメリカで公開されて大ヒット、そこから日本公開まで一年のブランクがあったため、その間に似た感じの映画を作って一稼ぎしようと本作は企画された。そのため、言葉を話す丸みあるロボット、要塞化した星、光線兵器によって消滅する衛星、宇宙船のチェイス――、『スター・ウォーズ』を彷彿とさせるキャラクターやシーンも決して少なくはない。

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 だからといってただの模倣作かというと、そうではない。

 なにせ、監督が深作欣二でスタッフやキャストは東映京都撮影所。しかも本作の撮影が行われたのは、同じ座組で撮られた「仁義なき戦い」シリーズの余韻もまだ冷めやらぬ頃で、『柳生一族の陰謀』を撮ってからすぐ後。つまり、バイオレンス一色の時期だ。そのため、『スター・ウォーズ』の宇宙空間が無機的な冷たさを放っていたのに対し、本作は荒々しい熱気に溢れている。

 宇宙キャバレーの厨房で関西弁を使いながら所狭しと乱闘するヤクザ、レーザー銃を浴びて激しくのたうち回る宇宙怪物、巨大戦艦の攻撃から必死に逃げる若者たち、体を張って命乞いするチンピラ、反乱軍とガバナス軍入り乱れての集団戦。そして、揺れ動くカメラが彼らを切り取る。

 そこで繰り広げられていたのは、宇宙を舞台にしてもブレることはない、深作欣二+東映京都という座組ならではの熱くも泥臭い世界だった。

「仁義なき戦い」シリーズにおいて、深作はそれまで時代劇や任侠映画で背景のように存在していた東映京都の大部屋俳優たちに対し、とにかく目立つよう指示していた。それを受け、チャンスに餓えていた大部屋たちは飛んで跳ねて転げて――と、目一杯に動き回り、画面に凄まじい活気をほとばしらせてきた。その魂が時空を超え、本作でも発揮されているのだ。

 本作はさながら、『仁義なき戦い〜宇宙死闘編』。彼らの手にかかれば、宇宙ですら「戦後間もない広島の闇市」のような空間に変わってしまう。

 こういった宇宙の描き方もあるのか。そんな再発見のできる作品なので、この機会にぜひ見比べてみてほしい。