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 反対のパターンもある。矢野耕平さんの著作『旧名門校VS新名門校』(SB新書)の中には、同じく桜蔭に入学した女子生徒が、クレバーな同級生たちに圧倒され自信を失ってしまい、退学したというエピソードがでてくる。ようは本人の気質を考慮しなくてはならないのだ。

“失われた学習習慣”を取り戻すには

 もし、そうした要因で「深海魚」になってしまったとしても、学校生活を楽しめるか楽しめないかは、また別問題だ。ただ、いずれ大学受験はやってきてしまう。そのときに学習習慣を失っていると、そうそうは“水面”に浮かんでこられないだろう。

 その場合、どうしたらいいのだろうか。

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 女子学院に通っていたある生徒は成績不振だったため、高2の終わりに親が心配して塾にいれた。そこで講師にこう言われたという。「まったく勉強してないな。つまり、お前はポテンシャルの塊だ。今から本気を出したらどのぐらい伸びるか俺も推測できん」

 そう言われてやる気になり、現役で私立難関大に進学したという。

 開成で「深海魚」だった男性は、中学入学から5年と半年の間全く勉強をしていなかったが、同級生に「大学行こうよ」と声をかけられ、モチベーションをあげた。最初は塾の勉強に全くついていけなかったが、中学の内容からやり直すとみるみる学力がついていき、高3の最後の定期テストでは真ん中の順位までに浮上した。

 ハードルの高い中学入試をクリアしてきた生徒たちは、現状の成績が不振でも、勉強に向いている資質を持っているはずだ。

 そういう子たちがどうしたら深海から海面に浮かんでこられるのか。それを考えることが学校にも塾にも求められているように思える。