被害者に金があるうちは、二人の仲も良くうまくいっていた。同居していた男もこの頃に被害者と会い、被害者の家に金田洋子の娘を連れて遊びに行っている。だが金がなくなると二人の仲は次第に険悪になっていった。
ある夜、被害者と金田は金のことで口論になった。被害者は、金田に渡す金がもう工面できなくなっていた。だが、被害者にはまだ自宅があり、振込まれてくる年金があった。金田はこの2つに狙いを定めた。
事件の発覚は同棲相手からのたれ込み
まず司法書士事務所に行き、家の名義を変更する方法について相談をしている。被害者を殺して、家の名義を自分のものにするためだ。「司法書士のアドバイスで金銭貸借証があれば、貸した金の代りに家を手に入れられると知り、金田は証書を作った。だが、金田が被害者に金を貸したという事実はない」とB氏はいう。
さらに金田は、被害者の他に交際していた70代の男性に、被害者宅を見張らせている。「様子を見たい人がいると偽り、男性にレンタカーを借りさせ、被害者宅を張り込ませていた。おそらく自分以外に出入りしている女がいないか、確認していたのだろう」というのが当時の警察の見方だ。
そこから金田は、ホームセンターで何度かに分け、殺害に必要な物を購入し始めている。木嶋佳苗死刑囚と違うのは、木嶋が欲しかったのは優雅な生活ができる金。結婚詐欺がばれそうになると男たちを自殺に見せかけて殺したが、貢いでくれる男はいくらでもいると思っていたのかもしれない。だが金田は、この家と振込まれてくる金が欲しかった。そして、自分の手で殺害することにする。
残っていた金田の購入履歴には、ロープ、なた、ノコギリ、手斧、人間が入れるぐらいの大きな犬用のケージ、セメントなどがあったという。セメントは5袋ほど購入したが、自分で運べないためタクシーを呼んで持ち帰っている。この時、金田を乗せたタクシー運転手は「チップももらいました」と証言している。
2006年9月中旬、金田はついに被害者を殺害する。事件が発覚したのは、それから3ヶ月後のことだ。きっかけは、同居していた男からの通報だった。
「男が警察にタレこんできたんだ。娘がいるため、これまで外泊したことのなかった女が外泊し、その後から夜中にうなされるし、言動もおかしくなった。被害者の姿も最近見ないし、その話もしない。何かおかしいと思い、被害者はどうしたんだと女を問い詰めたところ、『殺してしまった』と白状したと話した」(B氏)