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「刑務所ではエリート囚人」「痛点のない魚みたいな奴」髭面のVサイン男(42)の“囚人仲間”が明かす“更生できなかったワケ”《川越ネットカフェ立てこもり事件》

「刑務所ではエリート囚人」「痛点のない魚みたいな奴」髭面のVサイン男(42)の“囚人仲間”が明かす“更生できなかったワケ”《川越ネットカフェ立てこもり事件》

genre : ニュース, 社会

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「俺も革命を起こしたい」「出所したら公安にマークされるかも」

「普段からよく本を読んでいたのですが、キューバの革命家・チェゲバラに憧れていましたね。思想家になりたがっていて、『自分でも革命を起こしたい』と大それたことを言っていました。明治維新の時代の薩摩と長州も好きでしたね。

 時代をひっくり返すような大きいことをしたいようで、『俺も革命を起こしたい』『出所したら公安にマークされるかも』なんて言っていましたが、漫画喫茶に立てこもって何の革命を起こすつもりだったんでしょうかね……。

 受刑者仲間としては頼りになるやつですが、素晴らしい人間ってわけじゃない。彼は自分が起こした立てこもり事件について、もう何年も経っているのに武勇伝のように語る。人をだまして金を得る詐欺はダメだけど、立てこもりで人質をとって得る金は正義だとかなんとか……」

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長久保容疑者の実家 ©️文藝春秋

三菱銀行猟銃人質事件の犯人を崇拝

 長久保容疑者は2012年に起こした信用金庫の立てこもり事件について話すことも多かったそうだ。その際には「三菱銀行猟銃人質事件を参考にしたと語っていた」という。

 事件が起きたのは1979年1月。大阪市住吉区の三菱銀行北畠支店で発生した立てこもり事件で、犯人の梅川昭美容疑者(当時30)は警察官や銀行の支店幹部ら4人を射殺し、客や行員44人を人質に42時間以上立てこもったが、突入した大阪府警に射殺された。昭和史に残る立てこもり事件の代名詞だ。

「彼は犯人の梅川を崇拝していました。『梅川を参考にして、逃げられないようにするために人質の行員を裸にした』と自慢げに語っていましたよ。自分も同じように世間に衝撃を与えたと満足しているようでした」

 1審判決文によると、長久保による前回の立てこもり事件が起きたのは2012年11月22日午後2時すぎ。愛知県豊川市の豊川信用金庫蔵子支店で、女性客に刃渡り11センチのサバイバルナイフを突きつけ「シャッターを閉めろ」などと叫んだ後、女性客のほか、支店次長と女性職員3人を監禁。支店次長を通じ、電話で警察官に食料品を要求するなどした。

長久保容疑者がかつて通っていた山梨県内の農業学校 ©️文藝春秋

 愛知県警担当記者が解説する。

「事件を起こした時、当時の民主党の野田佳彦首相を辞任させるために『テレビ出演させろ』などと要求していました。2013年2月から始まった裁判でも、同じような主張をし、被告人質問では『夜が明けたら人質を殺害しようと考えていた』とも発言しています。

 しかし実態はどこまで政治目的だったのか。事件を起こす直前にカラオケ店で2000円の支払いで揉め『信金で人を刺して金を奪ってきてやる』と店を出ていますし、その前には一宮市のファミレスでも店員を脅して無銭飲食していました。

 同年4月の判決では『政治的な目的があっても正当化されない』『人質に凶器を用いて様々な命令することで、支配欲や自己顕示欲を満たすためだった』と断罪されました。犯行の5カ月前まで窃盗罪などで服役もしていたことから『規範意識や更生意欲は欠如している』として懲役9年が言い渡されたんです」