「夫にモラハラをしている」という認識はなかったが……
いくた 当時は常にイライラしていて、それを夫にぶつけてしまっていました。ただ、自分では「夫にモラハラをしている」という認識はありませんでした。
――でも、その頃の旦那さんはモラハラをしていたことを反省し、家事にも子育てにも積極的に関わるようになっていたのですよね。
いくた その時は私から見ても、“良き夫であり、良きパパ”になっていました。それまでは家事も育児も“たまに手伝う”というスタンスだったのが、私が何も言わなくても主体的に動いてくれるようになっていたんです。それなのに、なぜか夫に対するモヤモヤが溜まっていて……。
その頃、私は会社員として働きながら漫画を描いていました。最初は趣味でInstagramにアップしていたのが、『夫を捨てたい。』の投稿をきっかけに漫画家としての活動も増えていって。収入も増えて家計には余裕ができたのですが、その一方で「本業も家事・育児もしながら、軌道に乗った漫画の仕事も頑張りたい」と、気づかないうちに自分を追い込んでいました。
そんな自分と比較して、夫は周りの手を借りながら、8割くらいの力で上手に立ち回っていて。彼の姿を見て、次第に苛立ちを抑えられなくなっていったんです。
夫の余裕のある行動に不満が爆発
――8割くらいの力で上手に立ち回る、とは?
いくた 例えば子どもが風邪をひいて保育園を休まなきゃいけない時、私は会社に連絡をして、仕事を休んで看病していました。
でも、私が休めない時に夫に頼もうとすると、彼はとにかく仕事を休まない方法を考えるんですよ。だからよく義母に子どもを預けて、自分は普通に仕事に行っていました。そんな夫の余裕のある行動に、イライラしてしょうがなかったんです。
――自分は我慢しているのに、旦那さんはなるべく我慢しないことを選んでいた。
いくた 「子どもを保育園に送るのを代わってほしい」と夫に相談した時にも、「会社に着くのがギリギリになって、気持ちの余裕が持てなくなるから無理だ」と言われて。
それを聞いて、「私はいつも余裕がない状態で送り迎えしているんだけど!?」と不満が爆発してしまったんですよね。
今思うと、夫に対して「私も余裕を持てるよう、一緒に考えて」と言えばよかったのですが、当時は「私が1人で抱えている苦しみを、あなたにも同じように味わってほしい。そうしないと、本当の意味ではわかりあえない」と思っていたんです。
――「同じ苦しみを味わってもらう」ために、旦那さんに暴言を吐くようになったと。