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「夫に助けてほしい、手を差し伸べてほしいと思っていたけど…」モラハラ経験者の主婦漫画家が明かす、夫婦関係修復後に感じた“心の変化”

いくたはなさんインタビュー #2

2022/07/31
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息子を盾にされると何も言い返せなかった

いくた あの頃の夫は自由に飲み会にも遊びにも行っていましたね。それなのに私が「たまには飲み会に行きたい」と言うと、「子どもが寂しがるよ?」といい顔をしなかったんです。私も息子を盾にされると何も言い返せなかったので、飲み会だけでなく、出張や残業も断っていました。

©いくたはな/KADOKAWA

 実際は夫と同じように私も仕事をしていたし、やむを得ず残業になるときもあった。そういうのをきちんと伝えて、理解してもらうべきだったと思います。

 私が不満を堪えて家事や育児を続けていたから、夫に「僕は残業を断れないけど、ママは融通が利くんだ」と思われてしまった部分はあるかな、と。

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――そして不満を堪え続けたことで、ご自身の行動の“モラハラ化”につながってしまった。

いくた 夫にモラハラをしてしまった時は、自分の仕事と家事・育児をしながら、漫画を描いて……余裕がなさすぎましたね。

 そして振り返ってみると、夫が私に辛く当たっていた時も、彼に余裕がなかったのかもしれません。当時は社会人3年目で、部内では一番年下だったんです。いろいろと周りに気を遣わなければいけない環境だったので、ストレスを感じていたと思います。

 それに、部内に子育てをしている人が少なかったから、残業を断りにくかった。そういうのが今ならわかります。

©いくたはな/KADOKAWA

言わないと伝わらないけど、言ってすぐに解決するわけでもない

――パートナー同士がお互いに対して“モラハラ”をしないためには、どうしたらいいと思いますか?

いくた パートナーに対しては、「何も言わなくても私が辛いことを察して、手を差し伸べてほしい」と思う人が多いかもしれません。でも実際は、言わないとわからないんですよね。そして悲しいことに、言ってもすぐに解決するわけではないんです。

 もし「保育園の送り迎えを代わってほしい」と言ったとしても、パートナーだって仕事の都合があるから「じゃあ明日から代わるね」とはなりにくい。でも頼んだ側は、「パートナーなら困った時は何とかしてくれるはず」という期待が大きいから、断られた時は絶望してしまって……。

 そして、一番助けてほしい身近な人が手を差し伸べてくれないと、「この人は自分の敵なんだ」とすら思えてしまう。だからこそ、“パートナーに頼りすぎない”のがいいかもしれません。

――パートナーに頼りすぎない?

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