昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

短歌やってたし、俳句もいけると思ったのが間違いで

――その修業もあってか「角川短歌賞」に応募したら本選に残ったんですよね。

村上 50首作って応募するんですが、600人ぐらいの中から絞られた34人に選ばれたんですよ。「そんなわけねぇよ」って信じられなかったですね。講評が『短歌』って雑誌に載ったんですけど、まぁ選考委員の先生方からはボロクソでした。「空振りする歌もある」とか「一般論過ぎる歌があり過ぎる」とか。褒めてくれる先生が1人いて救われましたけど。

 

――短歌から今度は俳句に挑戦することになるわけですが、その違いってどんな感じなんですか?

村上 やっぱり、季語と「切れ」。この俳句の文化が、短歌とは全然違う世界を作ってるんだなあと思いました。最初は短歌やってたし、俳句もいけるだろうって思ってたんですよ。でも大きな間違いでしたね。

「初日記」使ってみたい季語だなって

――村上さんがどうやって俳句を作っているのか、作品を引用しながらお聞きします。

 初日記 とめはねに差す ひかりかな

 まずこの句の季語は「初日記」ですよね。

村上 そうです。『プレバト!!』は事前にお題となる写真を渡されて、それから連想する一句を提出するんですが、このときは「新春の富士山」の写真でした。テーマとしては「お正月」ということですよね。それで持ち歩いてる電子書籍の歳時記を開いて、まずは富士山にこだわらず新年の季語をあれこれ探しました。すると「初日記」っていう知らない言葉が目に入ってきた。なんかいいな、使ってみたい季語だなって。

 

――まず季語から考えるんですね。

村上 もちろんいろんな方法があると思いますけど、僕は写真に写っているものから季語を探し、そこから色々イメージを膨らませていきます。このときは、日記って1ページ目だけはきれいに字を書くんだよなあ、ってまず思ったんです。ただ、そこまではありがちな話なんで、わざわざ5・7・5の17文字で表現する必要もない。そこで「きれいな字」にフォーカスすれば映像も浮かびやすいし、面白い表現になるかなと考えて、今度はきれいな字を「初日記」以外の12文字でどう表せるかに思いを巡らす。すると、丁寧に書く字って「とめ、はね、はらい」だなって。そこに光が当たると新年っぽいし、美しい文字ってことも自然と表現できる。で、「とめはねに差すひかりかな」。