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「死んだほうがいいんかねぇ」14歳で自死を選んだ中2生徒、その原因は教師による“不適切な指導”だったのか

「死んだほうがいいんかねぇ」14歳で自死を選んだ中2生徒、その原因は教師による“不適切な指導”だったのか

2022/09/29

genre : ニュース, 社会

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 このときの指導は7時間にも及んだ。そして、反省文は10枚以上書くことになった。

「反省文を1枚、後日さらに10枚書いているんですよ。校長先生がいいって言うまで、終わらないんです」(父親)

掃除の分担時に発生した“ほうき事件”

 ただし、設置された「東広島市立中学校における生徒の死亡にかかる調査委員会」の報告書では、「約1年後に起こる自殺との直接的な関連性を認めることは困難」とされ、この指導は検討対象から除外されている。

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 2年生になって指導対象になったのは2回。学校の「生徒指導規定」では第3段階の特別指導が行われると、最低でも1年間は指導対象だ。その指導期間が終わる前に、2度の指導を受けた。

 調査委で指摘された1回目の指導は12年10月5日、文化祭の準備に関連し、数学の女性教諭と野球部員、女子テニス部員が2年生の教室と廊下の掃除を担当することになった。教諭は、クラスごとに一列に並ぶように指示した。人数調整後に、掃除の分担について説明した。このときに“ほうき事件”が起きる。

 この女性教諭は前任校では大きな声で厳しい指導をしていた。触法行為と嘘、いじめは同じと考えて指導するのが信条だった。「自分の中では、(どんな意図があったとしても)嘘はいけないこと」と尋問で答えた。

ほうきを壊したことについて、ヨウヘイさんと母親は教頭に謝罪

 掃除の説明時、生徒たちは体育座りになったが、友人Bの足がヨウヘイさんのお尻にあたった。調査委や市側の主張では、ヨウヘイさんもBも笑ったことになっている。尋問で裁判長は「ヨウヘイさんが笑ったのを見たのか?」と質すと、女性教諭は「笑い声の方向を見るとヨウヘイさんとBの2人がいた」と証言した。「笑い声の方向に2人がいた」と「2人が笑った」ではニュアンスが違うが、女性教諭は当時、2人が笑ったと断定した。

 確認すると、Bは笑ったことを認めたが、ヨウヘイさんはなかなか認めず、女性教諭は「誤魔化しているように見えた」と尋問で答えた。その後、2人を集団から外した後、女性教諭はBには掃除に行かせ、ヨウヘイさんに対し、「掃除をせずに部活動へ行くように」と指示した。

ヨウヘイさんは両手で持っていたほうきを床に叩きつけたという

 ヨウヘイさんは女性教諭が去った後、持っていた2本のほうきを折ってしまった。調査委報告書では「投げつけた」となっているが、母親によると、両手で持っていたほうきを「床に叩きつけた」という。「やばい」と思ったヨウヘイさんは、ほうきをガムテープで巻いて教室の掃除ロッカーに入れた。翌日、教室と図書室のほうきを入れ替えた。このほうきを壊したことが10月24日に発覚する。これが“ほうき事件”だ。ヨウヘイさんは母親と共に教頭に謝罪した。