アンシングの準備を忘れ、非常勤講師に叱責される
この件について生徒指導主事の教員は「暴力行為(器物損壊)に当てはまる」として、指導を進言した。しかし、これまでにも指導がされたこと、別室指導に値しないくらいヨウヘイさんが反省していることをふまえ、教頭の判断でこの日は特別指導をしていない。ただ、25日になって、「自分を振り返るのは必要」として、相談室で反省文を書かせている。
指導対象になったことだけで心理的な負荷がかかったわけではない。実は、ヨウヘイさんは野球部のエースとして背番号「1」を背負うはずだった。小学校の頃、ソフトボール部で県大会3位と活躍していた。しかし、野球部には17人しかいないが、10月26日、受け取った背番号は「18」だった。
ヨウヘイさんは野球ノートに「学校生活のことでチームに迷惑をかけた。それでも、チームは、ぼくに背番号をくれて、練習をして、試合にもださしてくれた。チームに感謝しなければならない。その感謝は、これからの学校生活や部活で示して行こうと思う」と書いていた。
翌日の県議長杯の大会では、18番をつけたヨウヘイさんが2試合目に先発投手として出場した。ただし、「18」を渡されてエースとして見られていないと思ったのか、肩を冷やすためのアイシングの準備を忘れた。それによってコーチをしていた非常勤講師に叱責されることになる。
指導中に指導者が机を蹴っていたのを野球部員が目撃
「もちろん、『1』はヨウヘイさんしかいないが、罰ではなく、『1』を空けたままにした。ヨウヘイさんは『18』の背番号になったが、ショックを受けたとは思う。ただし、『18』になった理由は説明していません」(非常勤講師)
10月29日には、“カボチャ事件”が起きる。午後3時15分ころ。ヨウヘイさんは友人とカボチャで遊んでいた。前回指導した女性教諭が廊下の真ん中に美術の授業で使うカボチャが置かれているのを見つけた。担任ではないものの、叱責した。ヨウヘイさんは「やばい」とずっと言っていたといい、掃除後に生活ノートを書くとき、机にうつぶせてになっていた。友人が近づくと、泣いているのがわかり、ヨウヘイさんは「死んだほうがいいんかねぇ」と言っていたという。
カボチャをみつけた女性教諭は担任に連絡。野球部の指導者である非常勤講師にもこのことを伝えた。担任はホームルーム後に面談する。担任はヨウヘイさんが涙ぐんでいるのを確認した。さらに、部活中に、指導者がヨウヘイさんを呼び出し、カボチャの件で指導した。