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〈詭弁としか評価できない〉〈結論を導くためのこじつけ〉神戸市いじめ隠蔽で第三者委が批判した「責任転嫁」

〈詭弁としか評価できない〉〈結論を導くためのこじつけ〉神戸市いじめ隠蔽で第三者委が批判した「責任転嫁」

被害児童の父は「過去だけでなく、現在も」

2022/12/12

genre : ニュース, 社会

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「『なぜ言わなかったのか?』と聞いた理由は、加害者側に有利な発言を引き出そうとしていたと思います。『親が怖いから』と記録されていました。しかし、うちの子はそんなことを言っていない。記録は間違いです。

『いじめられる側も悪い』などと教師たちに言われたと聞いていましたが、家庭訪問のとき、いじめを受けた子どもの親としては、学校での面談が適切だったのかを問い質したのです。このときのことが『激怒』とされ、『単独で本人から聞き取りができない』ことの根拠となっています。しかし、“聞き取りしないでください”とは言っていませんし、実際、のちに単独で聞き取りを受けています」

「学年集会をやらざるを得なかった」と被害児童側の親に責任転嫁

 この点、被害児童は裁判所に提出した陳述書で当時こう書いていた。

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〈相手の親が、『じゃあなぜそんな連中と一緒にいたのか』と言っていることについて言いたい。こんなことを口にするのは『子ども』の世界がどれだけ狭いか、よく分かっていない人だ。あいつらは本当にイヤなやつらだったけど、どんな連中とでも僕はその時は一緒に居なければならないと思い込んでいた…(略)…ほかの世界があるとは思わなかったのだ…(略)…あいつらに何をされても、我慢していくしかないと思った〉

 同月10日、被害児童は学校を欠席した。そのとき、学校側は、被害児童と加害児童が在籍するクラスを対象に、1時間目で「いじめがあったことを前提にした学年指導」を行なった。5時間目には学年集会が行われ、5年生の児童60人、保護者33人が集められた。担任がいじめのことを話し、「僕は毎日学校に行くのが地獄でした。…(略)…『死んだら楽になるかな』と思って、マンションの上の階から下を見ていたこともあります」などと書かれた被害児童の作文を母親が読み上げた。

「学年集会をしたのも、被害者の親がモンスターペアレンツだからやらざるを得なかったと記録されました。また、このとき母親が作文を読み上げましたが、学校側は勝手に読み上げたことにしていました。しかし、事前の学校との打ち合わせでは、最後に母親が作文を読むという形になっていました。打ち合わせ通りだったんですが、でっち上げられ、責任転嫁されました」

『被害児童に対する文句がある人は書くように』と促した各クラスの担任

 各クラスの担任は、その日の6時間目に「感じたことの作文」を書かせた。

「しかし、2月10日の作文は残っていません。アンケートや関係した児童の聞き取りを行っていますが、その資料もありません。3月15日に担任が『子どもたちの素直な気持ちを知りたかった』として、『クラスの子どもたちの今、考えていることを作文に書かせた』とあります。この一部を抜粋したものに、後から手書きで『2/10.6h』(※筆者注:2月10日6時間目の意味か)とメモしています。

『被害児童に対する文句がある人は書くように』と促したことが推測されていますが、加害者からの悪口を書かせることによって、一方的ないじめではなく、お互いさまだったという言質を取りたかったのではないか」