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「EVなんてかっこ悪いと思ってたけど、最近はめちゃくちゃ流行ってるから、むしろうらやましがられることも。普段使いしていて困ることもほとんどないし」
EVなんか要らない、ガソリン車がいいし、できれば外資系がいい。そういう消費者の考えを変えるまでに、中国EV業界は長い道程を歩んできた。
たった3年前は潰滅寸前だった中国EV業界に何が…
わずか3年前、2019年末には逆に中国EV業界は潰滅寸前の状況にあった。
中国政府は2005年にはEVを重要科学技術プロジェクトに指定するなど、他国に先駆けて取り組みを続けてきた。その意図は「湾道超車」にある。「カーブで追い抜く」ことを意味する中国語で、テクノロジーの世界ではタイミングこそ先進国を追い抜くチャンスという意味で使われる。
中国の自動車製造台数は2009年から世界一の座を守っているが、主流を占めるのは外資系企業と中国企業の合弁企業である。ICE(内燃機関)車で日本やドイツを追い抜くことは難しいと、次世代技術であるEVに賭けたというわけだ。
ところが思うようには普及しなかった。多額の補助金や優遇措置(上海市や北京市などの大都市では渋滞を避けるため新規ナンバープレートの発給は制限されているが、EVだとこうした制限を回避できる)といった手段を駆使したが、天津のLさん同様、「かっこ悪い」というイメージが染みついていた。