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「スターは言うことを聞かない」秋元康の“哲学”とは

 秋元康氏をよく知る元AKS関係者は「秋元さんはむしろタレント教育を積極的に拒絶している」と明かすのだ。

「秋元さんには“スター像”に関する哲学があるんですよ。彼にとってのスターとは美空ひばりや矢沢永吉、長渕剛。この3人に共通するのは全員がセルフプロデュースできること。秋元さんは親しいスタッフに対しては、『スターは言うことを聞かないもの』『自分で自分をつくるしかない』とよく口にするんです。指原莉乃についても『あいつは言うことを聞かないからな』と満足げに話していたことがありました。秋元さんは、周囲にアドバイスを求めたり、下手に出るタレントにはスターの素養はないと感じている」

ほとんど笑顔を見せることがなくなった平手。これもセルフプロデュースの一環だろうか(「AERA」2021年1月18日号)

 一方、それで売れる機会を逸するタレントも多いだろう。この元AKS関係者は「それはそれで仕方ない、というのが秋元さんの考えでしょうね。世間が考えているよりも秋元さんはずっとドライで、タレントとは距離がある」とも語る。

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平手が生き残るカギ「“大物スターの器”を持てるのか」

「とはいえ平手さんはまだ若いのでやり方が下手ですよね。ああいうやり方ではいつか超えられない壁が出てくることもあるでしょう。

 秋元さんがよく出す昔話があるんです。矢沢永吉さんになにかを提案したとき、矢沢さんは気に入らなくとも突っぱねたりはしない。ただ『俺はいいけどYAZAWAはどうかな?』と相手の気持ちを害さずに否定すると。美空ひばりさんに対しても『どういった曲を書けばいいですか?』と聞いたら、『私が歌えば私の歌になるんだからなんでも好きにしなさい』と暗にプレッシャーをかけられたそうです。

 本物のスターは自分を安売りせず、しかし周囲と上手くやる度量があるものです。平手さんがそこまで“器”を広げられるかが今後のカギになる」

 HYBE側は平手について「特別扱いはしません」とキッパリ言い切っているという。今回の移籍は吉と出るか、凶と出るのか――。

平手 ©時事通信